『エルフェンリート』などを描いてきた岡本倫さんが、『ヤングマガジン』で『パラレルパラダイス』を始めたきっかけは、担当編集の星野さんからの誘いでした。
新作のネーム、つまりコマ割りや台詞を決める下描きを作る前に、連載することが決まっていたといいます。
2020年の本人と担当編集へのインタビューを読むと、編集者が岡本さんに期待したことと、岡本さんがその雑誌で描こうと考えたことが、それぞれ語られています。
編集者が惹かれたのは、かわいさと残酷さの組み合わせ
星野さんは、岡本さんの作品で女の子のかわいさと残酷さが組み合わさるところに、衝撃を受けたと話しています。
そこで編集長を説得し、連載枠を用意して、ヤンマガで描かないかと声をかけました。
岡本さんの新作のネームを見て掲載を決めたのではなく、まず岡本さんに新しい作品を描いてほしいという誘いがあったのです。

岡本さんは、『バキ』から、読者を驚かせる見せ方を意識したとも語っています。
自分には、不良漫画の喧嘩の感覚がわからない
岡本さんは学生の頃からヤンマガを読んでおり、「ヤクザとヤンキーとエロ」の雑誌という印象を持っていました。
では、その雑誌で自分は何を描くのか。
岡本さんは、殴り合いの喧嘩をした経験がなく、不良漫画に必要な感覚が自分にはわからないと考えます。
主人公がふたりで相手が3人なら慌てるのか、大人数に囲まれても目の前の数人を倒せばいいのか。
岡本さんは『ビー・バップ・ハイスクール』と『バキ』を例に、そんな喧嘩の描き方の違いを話しています。
自分にはわからない喧嘩の感覚を描いても、よい結果にはならないだろうと考えたのです。
ヤンマガで自分が描くなら性的な題材だ、という選択には、そんな判断もありました。

誌面では難しいと思われていた、ファンタジーへ
星野さんによると、岡本さんからファンタジーを描きたいという話があったそうです。
当時はファンタジーが流行していた一方、ヤンマガでは難しいジャンルともいわれていたため、星野さんはその挑戦に驚いたと振り返ります。
岡本さん自身が語るのは、異世界ものを自分なりに描きたいという考えです。
異世界へ移ったら現世とのつながりが切れてしまうことが、以前から気になっていました。
そこで『パラレルパラダイス』では、現世とのつながりも確保し、話の整合性を意識したと説明しています。
ヤンマガで描く題材に、現世と異世界のつながりを描きたいという関心も、組み込んでいったのです。

まとめ
岡本さんは、ヤンマガで自分が描く題材を考え、その中へ、現世と異世界のつながりを描きたいという関心も持ち込みました。
これまでの持ち味を期待する誘いから始まり、その誘いに応える新作は、担当者も驚くファンタジーになったのです。


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