王子の日記を読んだクラフトたちは、ディスクン星人との対立まで王子の芝居だったと知る。
では、筒井雪隆の部屋に王子が現れたところから、すべて決まっていたのだろうか。
日記には、王子が地球へ来る前に立てた計画と、到着してから利用した偶然が分けて書かれている。
王子が最初から狙っていたのは、護衛隊の忠誠心を試すことだった。

地球へ向かう前から決めていたこと
王子は地球へ寄り道したいと思っていた。
護衛隊のクラフトたちが寄り道を認めないと考えた王子は、彼らの忠誠心を試す計画を思いつく。
地球にいるディスクン星人の長と連絡を取り、協力も取り付けた。
ここまでは、王子が母船を離れる前に決めたことだ。
クラフトたちはディスクン星人と王子が通じていることを知らない。
行方の分からない王子を探すときも、王子がディスクン星人に命を狙われたと聞いたときも、護衛隊の側は本気で危機に対処している。
王子は、自分を守る立場の三人が、その場でどんな答えを出すか見たかった。

救命艇の故障と雪隆との出会いは、予定になかった
王子は母船のコンピューターを混乱させ、救命艇で地球へ向かった。
ところが救命艇は本当に故障し、着陸に失敗する。
その衝撃で、王子の記憶は一時的にはっきりしなかった。
王子は自分が置かれた状況に気づくと、記憶を失ったふりをして地球人の反応を見ようと考える。
最初に起きた記憶の混乱まで、王子の演技だったわけではない。
王子がいたアパートの部屋には、後から雪隆が入居する予定だった。
雪隆と初めて会ったのは、地球へ着いてからだ。
王子は雪隆の反応を面白がり、護衛隊を試す計画へ彼も巻き込むことにした。
雪隆が王子に振り回されたのは事実だが、雪隆との同居は最初から用意された筋書きではなかった。

芝居は地球で大きくなった
王子は水晶データを取り戻すため、江戸川美歩の父がいる研究所へ行く。
そこで王子は博士とも協力し、雪隆が研究所の人間に自分のことを話すか試した。
雪隆は王子の存在を明かさない。
王子は人間の隠れた嫌な一面を見たがっていたのに、雪隆の行動を「いい奴」と認めて苛立つ。
雪隆の返答まで王子の思い通りだったわけではない。
王子はその後、ディスクン星人と打ち合わせ、死んだふりをする役を決める。
彼らが護衛隊に迫るのは、王子の代わりに三人が命を差し出すか、という選択だ。
この危機は仕組まれている。
ただしクラフトたちは芝居だと知らず、自分たちの命と王子の命を天秤に掛けるよう迫られる。

日記を読んだクラフトは、王子へ怒りをぶつける。
雪隆も王子を問い詰める。
二人は違う立場から王子を助けようとしたが、どちらも王子に反応を観察されていた。

王子が用意したのは、人が選択を迫られる状況だ。
王子は護衛隊の忠誠心を試すために地球へ来たが、救命艇の事故や雪隆との出会いは予定していなかった。
王子は偶然まで企みに利用したものの、雪隆が研究所へ自分のことを話さなかったように、相手の答えまでは決められない。
日記を読み直すと、王子の計画はすべてを見通した筋書きではなく、他人の返答を引き出すために地球で広がっていった芝居だったと分かる。

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