『銀と金』中条が正解していたら? 森田が絵画勝負に用意した備え

暗い部屋に並ぶ三枚の絵と、一枚を覆う布 銀と金
『銀と金』福本伸行・絵画編。

セザンヌの本物を選び損ねた中条は、森田との勝負で四億円を失った。
しかし、森田の計画には、中条が本物を当てた場合の備えもあった。
その備えを作ったのは、中条が勝ちやすくするために行った不正である。

暗い部屋に並ぶ三枚の絵と、一枚を覆う布
『銀と金』福本伸行・絵画編。

青木の裏切りが、中条を勝負へ連れてくる

森田は、贋作を用意するために画家の青木を仲間にした。
ところが、青木は中条に買収され、森田側の情報を中条へ渡す。
中条は青木の手引きで、本物の額縁にチェックまでつけていた。

森田は、青木の裏切りを計画に織り込んでいた。
森田は青木への扱いを悪くし、青木が中条側へつくように仕向けていた。
疑り深い中条に、森田の言葉だけを信じさせるのは難しい。
そこで、森田の仲間を買収して内情を知った、と中条が思える状況を作ったのである。

中条は、森田を出し抜く方法を自分で手に入れたつもりでいる。
森田からの誘いをうのみにするより、そのほうが安心して勝負に乗れる。
青木の裏切りは、森田が中条を勝負の場へ引き込むための仕掛けでもあった。

不正の録画は、正解された時の備えになる

森田は向かいのビルに撮影班を置き、中条が印をつける様子を撮影させていた。
森田はチェックを丸で囲み、中条が目印を見つけても、その絵を安心して選べないようにした。
この丸によって中条の判断が崩れる過程は、額縁の印を扱った記事で詳しく読める。

撮影した映像には、別の使い道もあった。
勝負を終えた森田は、帰りの車内で川田に、中条が本物を当てた場合の策を明かす。
不正の証拠を見せ、勝負の無効を申し出るつもりだったのである。

中条が正解しても、森田は黙って本物を渡すつもりではなかった。
森田は、中条が外すように仕向けるだけでなく、当てられた時にも不正を理由に対抗できるようにしていた。
これは、実際に勝負を無効にした場面ではなく、勝負後に森田が明かした備えである。

本物を選べず、膝をついて崩れる中条
『銀と金』福本伸行・絵画編。

中条にとって青木の買収と額縁の印は、森田に勝つための工夫だった。
森田はその工夫を、勝負に参加させる理由にも、正解された時に争う材料にも変えている。
中条の不正は、本物を選ぶ助けになる一方で、その正解を森田に争われる弱みにもなっていたのである。

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