森田は、銀二から離れて一人で金を稼ごうとする。
やがて大物画商の中条から大金を奪うが、その出発点では、勝負に使う金さえ持っていなかった。
中条に近づくために森田が使ったのは、土門とのつながりと、金を持つ男に見せる演技だった。
そこへ川田の資金と人脈が加わり、森田は着想を実行に移せるようになる。

ホテルで待つ森田には、まだ仕事がない
銀二と一緒にいた森田には、銀二が用意した仕事があった。
一人になった森田は、金を得るきっかけから自分で探さなければならない。
高級ホテルで周囲の会話に聞き耳を立てる日々は、その違いをはっきりさせる。
そこで森田は、中条が画家の青木を酷評する場面に出会う。
中条という標的を見つけ、絵を使う勝負を思いつく。
ただ、中条と知り合いになれたからといって、無名の若者の金儲けに中条が乗るとは限らない。
森田には、自分を金の動く世界にいる人物だと思わせる必要があった。
土門とのつながりを、資産家らしく見せるために使う
森田は、帝日銀行の頭取・土門と親しいことを中条に示す。
土門との接点は、銀二と関わった仕手戦で得たものだ。
森田は新しい標的を自分で探しながら、以前の仕事で得た人脈を足がかりにしている。

森田は、札束の入ったトランクも見せる。
中身は、銀二から渡された偽札だ。
土門の資産運用を任されているという話も、森田が作った嘘である。
本当にあるつながりに嘘を重ね、森田は中条に、自分が大金を扱う人物だと思わせようとする。
この演技には、はっきりした弱点がある。
見せる札束があっても、実際に支払える金はない。
中条が高級クラブで森田に高額な料金を負わせようとすると、森田は金のないことを見破られかける。
偽札は中条の注意を引く材料になっても、この料金を支払う金にはならなかった。
川田が欲しかったのは、森田の着想だった
この窮地を救うのが川田だ。
川田は金を出して森田を助け、その後は利益を折半する約束で協力する。
森田が欠いていた実際の資金が、ここで計画に加わる。

川田も中条の金を狙っていたが、中条の疑り深さを崩せずにいた。
森田の着想を評価した川田にとって、協力には自分も儲けられる見込みがある。
森田は一方的に助けられるだけの若者ではなく、川田に不足していた策を持っていた。
一方、森田だけでは、その策に必要な物をそろえられない。
川田は資金に加えて、精巧な贋作を用意する人脈も持ち込む。
森田の計画に川田の資金と人脈が加わって、二人は中条と大金を賭ける勝負を準備できる。
中条を誘うまでにも、森田は試されている

勝負では、中条が絵を見分けられるかどうかが問われる。
その勝負を始めるまでには、森田の側にも、自分にない金や人脈をどう補うかという問題があった。
森田の才覚は、中条を惑わせる仕掛けだけでなく、川田が協力したくなる計画を作れたところにも表れている。
中条の疑いを利用して勝負へ誘う策は、青木の裏切りと録画を扱った記事で読み解いている。
絵画勝負は、中条を破る森田の巧みさと、まだ資金に乏しい森田の危うさを一緒に描いている。
川田との協力が面白いのは、金を持つ側も、金のない森田の才覚を必要としていたからだ。

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