藤崎竜さんの絵をゲームの3Dモデルにする際、開発者が最も難しかったと話すのは、手足のバランスです。
『封神演義 逆命承天』では、画面の中に小さく映る人物にも、藤崎さん独特の姿を感じられるよう調整しています。
大きく見せる一枚絵と、見下ろして動かすゲームでは、同じ形を作るだけでは足りなかったのです。
本作は、漫画の後の世界を描く新作で、2027年発売予定です。
2026年の開発者インタビューでは、LASTWONDERのディレクター・浅野祥さんが、絵を動かせる姿へ変える苦労を具体的に話しています。
大きな絵の手足を、小さな人物にも残す

新主人公・桃辰のイラストでは、握った拳と大きな靴が、こちらへ向けられています。
衣装や髪も広がり、全身の形に変化があります。
この姿を描いたのは藤崎さんで、新主人公と相棒の依頼の経緯は、新作ゲームでの藤崎さんの担当でも紹介しています。
浅野さんによれば、藤崎さん独特のデフォルメを3Dモデルへ反映するまでには、かなり時間がかかりました。
大きなモデルなら比較的作りやすくても、ゲーム中の小さなサイズで、手足の特徴を感じさせるバランスを保つのは難しかったそうです。
造形を近くで眺める時に加え、実際に遊ぶ画面で小さく見た時にも、姿を確かめる必要がありました。
見下ろしても、髪や衣装の形が伝わるように

ゲームは、上から斜めに見下ろす視点で進みます。
公開された戦闘画面では、桃辰は地形や攻撃の演出に囲まれ、画面の一部に小さく映っています。
全身のイラストを大きく見る時とは、人物の見え方が変わります。
開発側は、その角度からも髪型や服装のボリューム感が残るように、人物を立体にしています。
正面の顔を似せることだけが、再現の作業ではありません。
ゲームで見下ろす角度と、画面に映る大きさまで含めて調整しているのです。
光を当てるだけでは、絵の陰影にならない
人物の形に加え、服の陰影も調整する対象になりました。
浅野さんは、服のしわにあるムラのような表現が、光に応じて陰影をつけるシェーディングではうまく出なかったと説明しています。
そこで、照明を調整しながら、直接描く方法で表しています。
線や斜線で描く影の特徴は、藤崎竜さんの画風でも取り上げています。

色の参考になったのは、完全版の表紙です。
ただ、白黒の漫画原稿とカラー原稿では特徴が違い、絵柄をそのまま再現したつもりでも、3Dにすると藤崎さんの絵に見えないことがあったそうです。
アーティストたちは、一つずつバランスを考え直しています。

浅野さんは、表現の強弱を控えたものと強めたものを作り、どちらが藤崎さんの絵に見えるか、比較したことも話しています。
また、絵の光源については、崖の上と下で光の向きが異なる例を挙げています。
絵として映える光の置き方を読み取り、ゲームの表現にも取り入れているのです。
これらは開発側による分析であり、藤崎さん本人が説明した描き方ではありません。
気に入ってもらった試作品が、制作の基準になった

開発途中の試作品を見せた時、藤崎さんは背景と人物の絵のバランスを気に入ってくれたそうです。
ところが、その時の人物モデルは、通常の約4倍の労力をかけて作ったものでした。
浅野さんは、気に入ってもらったその品質で進むしかなくなった、と笑って振り返っています。
原作者に喜ばれた試作品が、その先の制作にも高い基準を残したのです。
まとめ
開発側が繰り返し比べていたのは、立体にした人物や背景が、藤崎さんの絵に見えるかどうかでした。
手足の形に加え、見る角度、画面の中の大きさ、線と光を調整しています。
戦う人物が小さく映る画面にも、そうした細かな試行が重なっています。
浅野さんが語る苦労からは、漫画で親しんだ絵を動かせる姿へ変えるために、形を作ることと、見え方を確かめることを行き来している様子が伝わります。


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