剣心はなぜ小柄・赤髪・十字傷になった? 和月伸宏が語った外見の作り方

和月伸宏『るろうに剣心』第1巻の表紙 和月伸宏
『るろうに剣心』第1巻(和月伸宏/集英社)

緋村剣心の小柄な体、赤い髪、頬の十字傷は、和月伸宏さんが最初から一組として思い描いた特徴ではありません。
先に描いた歴史物の主人公を、長身・黒髪とは反対の姿にしようと考え、小柄・赤髪にしました。
すると顔立ちが女性的に見えたため、十字傷を加えた。
和月さんは、剣心をこのように順を追って作ったと話しています。

出発点は『戦国の三日月』の主人公だった

剣心より先に、和月さんは歴史物の読切『戦国の三日月』を描いています。
この作品が読者から好意的な反応を得たことをきっかけに、担当編集者は和月さんへ、もう一本歴史物を描いてはどうかと提案しました。
幕末から明治という舞台と、殺さない剣客という主人公の構想は、その後の検討から生まれています。
この経緯は、時代設定についての記事でも扱っています。

『戦国の三日月』の主人公は、長身で黒髪でした。
和月さんは集英社の本人対談で、剣心の外見を、その主人公と正反対にしたと説明しています。
同じ作者が続けて歴史物を描くからこそ、次の主人公を前作の延長線上に置かない選び方でした。

集英社ジャンプチャンネルの『戦国の三日月』ボイスコミック前編の画像
集英社ジャンプチャンネル『戦国の三日月』前編。

長身・黒髪を反転させ、小柄・赤髪へ

和月さんが対談で挙げた対比は明快です。
『戦国の三日月』の主人公が長身なら、剣心は小柄にする。
黒髪なら、剣心は赤髪にする。
身長と髪の色を入れ替えることで、二人を見分けられるだけでなく、同じ「歴史物の強い剣客」にも違う姿を与えました。

赤髪と十字傷が見える『るろうに剣心・北海道編』第1巻の表紙
集英社『るろうに剣心・北海道編』第1巻の書影。

ここでいう「正反対」は、和月さんが説明した外見上の設計です。
『戦国の三日月』の主人公と剣心の生き方や強さまで、すべて反対だと本人が述べたわけではありません。

十字傷は、顔立ちを見て加えられた

小柄で赤髪の剣心を描いたところ、顔立ちが女性的に見えたと和月さんは振り返ります。
そこで頬に十字傷を付けたというのが、本人の説明です。
長身・黒髪との対比が先にあり、その結果を見て、顔にもう一つ特徴を加えました。

十字傷は作中で剣心の過去に関わる重要な印でもあります。
ただ、ここで和月さんが答えているのは、物語内で傷を負った理由ではなく、キャラクターの絵を作る段階で傷を描き足した理由です。
二つを混ぜると、作者が外見を決めた経緯が見えにくくなります。

まとめ

剣心の外見は、まず『戦国の三日月』の主人公を手がかりに小柄・赤髪を選び、描き上がった顔を見て十字傷を加える順序で生まれました。
一つの完成形を最初から決めていたのではなく、前の作品との違いを作る選択が、次の調整を呼んだのです。
和月さんの説明を聞くと、見慣れた三つの特徴が、別々の判断を経て一人の主人公の顔になったことが分かります。

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