和月伸宏さんの仕事は、漫画の連載だけではありません。
ゲーム『サムライスピリッツ零』で人物のデザインに参加し、『新選組群狼伝』ではキャラクター原案を担当しました。
アニメ『エンドライド』では主人公の一人の原案を描き、集英社の学習まんがでは第13巻の表紙を手掛けています。
仕事の範囲は、人物デザイン・原案・表紙と作品ごとに異なります。
好きだった『サムライスピリッツ』に、今度は描く側で参加した
和月さんにとって『サムライスピリッツ』は、仕事を頼まれて初めて知ったゲームではありません。
『るろうに剣心』を描いていた頃から遊び、人物の立たせ方や技の見せ方に刺激を受けたと、本人への取材で語っています。
この影響が『るろ剣』にどう表れたかは、別の記事で詳しく扱っています。
その後、シリーズ作品の『サムライスピリッツ零』で、和月さんはキャラクターデザインに参加しました。
本人によると、以前のシリーズ作品を作った人が和月さんの妻の友人で、後に『零』を作る際に声をかけてくれたそうです。
『新選組群狼伝』では、かつて描いた新選組を別の形にした
さらに、PlayStation 2用ゲーム『新選組群狼伝』では、和月さんがキャラクター原案を担当しました。
制作会社レッド・エンタテインメントは、キャラクターデザインを担当したのは松原秀典さんだと明記しています。
原案とゲームで使うデザインを、別の作り手が担った仕事です。
発売元セガが掲載した久保亨プロデューサーへの取材によると、久保さんと和月さんは普段から作品について話していました。
久保さんが、もし今『るろうに剣心』とは違う新選組の漫画を描くなら人物をどうするかと問いかけたところ、和月さんが描くことになったといいます。
『るろ剣』にも斎藤一は登場しますが、ゲームではその人物をそのまま移すのではなく、別の新選組像が試されました。
久保さんは、ゲームの斎藤一について調べた資料をもとに居合いの使い手として捉え、和月さんと違う描き方を相談したと説明しています。
衣装の具体的なデザインには、松原さんの仕事もあります。
久保さんは、刀を下げる装具をガンベルト風にしたことや、沖田総司の服から袖をなくしたことを、松原さんの発想として紹介しています。
和月さんの原案と松原さんのデザインが合わさり、『るろ剣』とは違う新選組がゲームの中に生まれました。
『エンドライド』では、二人の漫画家が主人公を分担した
2016年のオリジナルアニメ『エンドライド』には、和月さんと『BASTARD!!』の作者・萩原一至さんがキャラクター原案として参加しました。
製作委員会に参加したタカラトミーアーツの発表には、二人の名前が並んでいます。
作品は、地上から異世界へ迷い込む少年・浅永瞬と、その世界の王子エミリオを中心に進みます。

2016年のアニメ発表では、和月さんが地上の少年・瞬を、萩原さんが異世界の王子・エミリオを原案として描いたと説明されています。
地上から来た少年と異世界の王子という二人の主人公を、それぞれの作者が受け持った形です。

一方、アニメの監督やシリーズ構成、実際のアニメーション制作には別の担当者がいます。
和月さんの担当は主人公の原案で、アニメの物語と映像はほかのスタッフの仕事を通して完成しました。
明治の学習まんがでは、本文ではなく表紙を描いた
集英社の『学習まんが 日本の歴史』第13巻「明治維新と文明開化」にも和月さんの名前があります。
ただし、集英社の書誌を読むと、役割はカバーイラストです。
本文の漫画は吉田健二さん、シナリオは鍋田吉郎さん、監修は鈴木淳さんが担当しています。

和月さんは『るろうに剣心』でも明治を舞台にしていますが、この本の物語を描いたわけではありません。
歴史まんがの読者が最初に目にする表紙を、和月さんの絵が担っています。
まとめ
ゲーム、アニメ、学習まんがに和月さんの名前があるときは、「何を担当したか」まで見ると、それぞれの仕事が分かります。
『新選組群狼伝』では原案とデザインを別の人が担い、『エンドライド』では二人の漫画家が主人公を分担し、学習まんがでは表紙と本文の描き手が分かれました。
和月さんが漫画以外で描いてきたのは、作品のすべてではなく、ほかの作り手が広げていく人物や本の入り口でもあったのです。


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