落人群で逆刃刀を鎖で巻いた剣心は、薫が生きていると知らないまま、再び刀を取る。
薫を取り戻せるという希望がないとき、剣心を動かしたものは何だったのか。
燕の頼みと、オイボレが見つめた剣心の手をつなぐと、復活の理由が見えてくる。
燕が求めたのは、弥彦を助けることだった
薫を失ったと信じた剣心に、左之助は仇討ちを持ちかける。
だが、剣心はもう疲れたと答え、落人群から動かない。
縁との決着を急がせる言葉は、剣心を立たせられなかった。

そこへ来た燕は、鯨波に立ち向かう弥彦を助けてほしいと頼む。
燕が求めたのは薫の仇を討つことではなく、今まさに危険にさらされている弥彦を救うことだ。
剣心はすぐには立ち上がらず、燕は落人群を去る。
それでも、燕の訴えは剣心の中に残った。
オイボレは、剣心が手放せないものを指した
剣心は、人を斬ってきた罪にどう答えればよいか、まだ分からずにいた。
オイボレは剣心の代わりに答えを決めない。
オイボレが目を向けたのは、剣心が逆刃刀に巻いた鎖を、なお強く握っていることだった。

剣心は戦うことに疲れ、薫を守れなかった自分を責めている。
それでも、目の前で苦しむ人を守りたい思いは捨てられない。
オイボレの言葉を受け、剣心は、その思いこそ自分の真実だと確かめる。
燕が助けを求めた弥彦は、剣心が今、守りに行ける相手だった。
立ち上がった後も、剣心の選択は続く
剣心は逆刃刀の鎖を断ち、弥彦のもとへ向かう。
この時点で剣心は、薫の生存をまだ知らない。
薫を失ったと思い込んだまま、剣心は弥彦を助けたいという思いを選んで動いた。

剣心は鯨波を倒した後、その命を奪わず、新しい時代にもう一度生きてほしいと告げる。
燕に求められた弥彦の救出から、かつて戦った鯨波の命まで、剣心の目は再び目の前の人に向いた。
薫が生きていると知るのは、その後である。
剣心を先に立たせたのは、失ったものが戻るという知らせではなく、まだ守れる人がいるという現実だった。


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