岩明均は結末を決めて描く?『ヒストリエ』の構想と『レイリ』の完成原作

『ヒストリエ』第1巻の表紙 岩明均
『ヒストリエ』第1巻/岩明均、講談社。

岩明均さんは『ヒストリエ』について、大まかな流れは最後まで決まっていると、2005年のインタビューで答えています。
また、原作を担当した『レイリ』では、シナリオを完成させてから漫画の制作を任せました。
物語の先を考えておくことと、原作を最後まで書き上げておくこと。
この二つの仕事から、岩明さんがどこまで準備して漫画を作ってきたのかを見ていきます。

『ヒストリエ』は、大まかな構想が最後まで決まっていた

『ヒストリエ』第1巻の表紙
『ヒストリエ』第1巻/岩明均、講談社。 出典

『ヒストリエ』は、のちにアレキサンダー大王の書記官となるエウメネスを主人公にした歴史漫画です。
講談社の作品紹介によれば、岩明さんがデビューする前から温めていた物語でした。
連載が始まったのは2003年ですが、物語の構想は、それより前からあったのです。

『クイック・ジャパン』2005年3月のインタビューでは、『ヒストリエ』がどの程度先まで決まっているかを尋ねられています。
岩明さんの答えは、大まかなら最後まで決まっている、というものでした。
岩明さんがこの返事で語ったのは、物語全体の大まかな見通しです。

この発言は『ヒストリエ』について答えたものです。
『寄生獣』や『七夕の国』も同じ手順で作ったかどうかは、この取材だけでは分かりません。

『レイリ』は、原作を完成させてから漫画にした

『レイリ』第6巻の表紙
『レイリ』完結の第6巻/原作:岩明均、漫画:室井大資、秋田書店。 出典

『レイリ』では、岩明さんが原作を書き、室井大資さんが漫画を描きました。
全6巻で完結した、百姓の娘が武田信勝の影武者として生きる戦国の物語です。

岩明さんは2020年の受賞コメントで、シナリオを完成させた後に、編集者の沢考史さんへ制作全体を任せたと話しています。
沢さんも、岩明さんが十二年をかけて書き上げた原作を、一気に読んだ日の感動を振り返りました。
室井さんが漫画を描く前に、原作の物語は書き上がっていました。

第3回さいとう・たかを賞の2020年授賞式、集合写真
2020年、第3回さいとう・たかを賞の授賞式/さいとう・プロダクション。 出典

この制作では、岩明さんの完成原作を沢さんが読み、室井さんの漫画へつないでいます。
書き上げた物語が、別の描き手と作品を作る出発点になりました。
その後、室井さんが漫画を描き、完成した『レイリ』は第3回さいとう・たかを賞を受賞しました。

岩明さんが一人での作画を難しいと考え、共同制作を選んだ経緯は、『レイリ』の制作体制の記事で紹介しています。

まとめ

『ヒストリエ』では、岩明さんが長く温めた構想を自ら漫画として描いています。
『レイリ』では、書き上げた原作が室井大資さんへ渡り、岩明さん本人とは違う絵と演出を持つ漫画になりました。
結末を考えていたという話からは、物語をどう準備し、誰の手で漫画にしていくかという仕事の違いも見えてきます。

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