冨樫義博展「PUZZLE」はどんな展覧会だった?三作品の原画と創作の舞台裏

幽助やゴンなど歴代キャラクター15体を描いた冨樫義博展PUZZLEのキービジュアル 冨樫義博
2022年に公開された「冨樫義博展 -PUZZLE-」キービジュアル。©冨樫義博 1990-94年/©冨樫義博 1995-97年/©P98-22。出典:展覧会公式発表。

「冨樫義博展 -PUZZLE-」は、冨樫義博さんの画業35周年を記念した展覧会です。
『幽☆遊☆白書』『レベルE』『HUNTER×HUNTER』を中心に、直筆原稿やカラーイラスト、制作資料など350点以上を紹介しました。

この記事では、森アーツセンターギャラリーで開かれた東京展の内容を振り返ります。
会期は2022年10月28日から2023年1月9日までで、すでに終了しています。

幽助、王子、ゴン――同じ作者の三作品をたどる

描き下ろしのキービジュアルには、歴代の人気キャラクター15体が集まりました。
幽助とゴンが前に立ち、後ろには『レベルE』の王子もいる。
一作品の名場面にとどまらず、冨樫さんが描いてきた世界を横断する展覧会だと、顔ぶれからも分かります。

『幽☆遊☆白書』の展示では、戦いの名場面や台詞を描いた原稿に加え、幽助・桑原・飛影・蔵馬のアクションが取り上げられました。
物語を動かした四人の姿を、戦いの場面から振り返る構成です。

続く『レベルE』は、エピソードごとの展示でした。
会場の壁には斜めの線が幾重にも走り、原画を囲むパネルも傾いて見えます。
宇宙人と地球人の奇妙な交流を描いた作品に合わせ、展示空間にも落ち着かない感覚が持ち込まれていました。

斜めの線が走る壁面にエピソード別の原画を配置したレベルEエリア
東京会場の『レベルE』エリア(2022年)。作品:冨樫義博。撮影:古川幹夫/インターネットミュージアム。

『HUNTER×HUNTER』では、ゴンたちの成長や名場面をたどりながら、広がっていく作品世界を紹介しました。
念の系統を調べる水見式のグラスも、空間を彩る要素として使われています。
同じ作者の漫画でも、作品ごとに異なる見せ方が用意されていたのです。

名場面の原稿から、漫画を作った手の跡へ

原画展の面白さは、覚えている場面の前で足を止めたとき、単行本とは違うものにも気づけることです。
ホワイトで直した跡や写植を貼った跡まで見られるのが、生の原稿ならではの部分です。
完成したページにまとまる前に、線を引き、文字を置き、修正してきた作業がある。
知っている漫画を、描かれた紙として見直せる展示でした。

原画に加えて、作品の設定資料も展示されました。
完成した絵と、物語を支える設定の両方を取り上げていたのです。

三作品の「奇妙な生き物」を集めたコーナーも

作品を一つずつたどった後には、「“奇”生物の世界」というコーナーがありました。
三作品に登場する奇妙な生物を、一緒に取り上げた展示です。

三作品の奇妙な生物を原画や壁面の拡大画で並べた奇生物の世界エリア
東京会場の「“奇”生物の世界」エリア(2022年)。作品:冨樫義博。撮影:古川幹夫/インターネットミュージアム。

会場には、大きな口を持つものや、魚のような体をしたもの、丸い小さな生物などが並びました。
物語を読んでいるときには、それぞれの場面の登場人物として見ていたものを、ここでは形の面白さから見比べられます。
作品の枠を越えて並べることで、冨樫さんの生物のデザインにも目を向けるコーナーになっていました。

最後の「冨樫義博」エリアでは、初期作品の原稿やカラーイラスト、描き下ろしのキービジュアルなどを展示。
代表作の物語をたどってきた展示が、その作者の長い仕事へとつながっていきます。

展示を振り返る公式図録も刊行された

展覧会では公式図録も作られました。
原画や展示の解説を本で見返したい場合には、図録と画集の違いをまとめた記事で、収録内容を紹介しています。
展示物すべてを載せた本ではないため、会場の完全な再現とは分けて選びたい一冊です。

まとめ

「PUZZLE」の魅力は、懐かしい場面との再会に、原稿や設定、絵の作り方への興味が重なるところにあります。
好きな台詞を思い出すだけでなく、原稿の線や修正の跡、作品をまたいで現れる造形にも目が向く。
展示を通して増えた関心を持って、もう一度漫画を開きたくなる展覧会だったのです。

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