森山大輔さんの『ワールドエンブリオ』第1巻には、人物の顔を大きく描く巻頭の絵と、少年と病院の全景を描く第1話の扉絵があります。
『クロノクルセイド』新装版第1巻のACT2では、修道会の建物を描いたコマに、章題と登場人物の台詞が一緒に入っています。
二作品には、人物を眺める巻頭の一枚絵もあれば、会話の始まるコマに章題を入れたページもあります。
今回は二作品のページを見比べ、人物の大きな姿が、コマを追って読む場面へどうつながるのかを見ていきます。
『ワールドエンブリオ』の巻頭は、一人の顔を大きく見せる
『ワールドエンブリオ』第1巻の巻頭では、ゴーグルに両手を添えた人物が、こちらを向いています。
髪、ゴーグル、口元が、ページを広く使って描かれています。
下側には作品名と巻数が入り、顔を遮る会話の吹き出しはありません。

その左のページには、少年と女の人の過去の場面が、小さなコマで描かれています。
少年の語りに、女の人の横顔や、少年の頬に手を添える姿が重なり、下には走る少年の姿があります。
一人の顔を眺めるページの隣で、すでに少年の回想が始まっています。
第1話の扉絵は、少年と大きな病院を一緒に見せる
第1話「月下の胎動」の扉絵は、巻頭の顔の絵よりも、人物の周囲を広く描いています。
天海陸の体と青いマフラーの後ろに、大きな病院と、枝を伸ばした木が広がります。
右端のコマには、陸が手にする携帯電話と、そこに写る天音の写真があります。

陸は、自分の体よりずっと大きな建物の前に立っています。
病院には割れた窓や崩れた壁があり、電話の中の写真に写る建物とは様子が違います。
少年の顔だけでなく、陸が今どこに来たのか、何を手掛かりにしているのかまで、一つの見開きで分かります。
次のページでは、陸が病院の廊下へ入ります。
扉絵で見せた大きな建物が、そのまま探索する場所になります。

カラーから白黒へ移っても、会話は続いている
『ワールドエンブリオ』の冒頭は、扉絵の後もカラーのコマが続きます。
洋平がバイクで来て、有栖川レナと話す場面もカラーです。
その次のページでは白黒になりますが、二人の会話が続いています。

『クロノクルセイド』ACT2は、章題と叱る声が同じコマにある
『クロノクルセイド』新装版第1巻のACT2「契約者クロノ」は、修道会の建物を高い位置から見せるコマで始まります。
建物の下側に章題が重なり、修道会の役割を説明する台詞と、厳しく叱る声も入っています。
章題を見た時点で、ロゼットが叱られている場面を読み始めています。

続くコマでは、前の事件の損害をめぐり、ロゼットがシスターに叱られています。
建物の全景に入った声の主を、次に近くから見る作りです。

まとめ
『ワールドエンブリオ』では、一枚絵の隣や次のページで物語が動き、『クロノクルセイド』ACT2では、章題の入ったコマですでに叱る声が聞こえます。
絵を眺めてから話へ入る形と、章の始まりを会話の途中へ重ねる形を、二作品で見比べられます。


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