『~異伝・絵本草子~ 半妖の夜叉姫』で、椎名高志が担当したのは漫画です。
高橋留美子がメインキャラクターデザイン、隅沢克之が脚本協力を担っています。
椎名はアニメを漫画に移す際、とわが自分の居場所を見つける話として構成を考え、高橋からは殺生丸の人物像について要望を受けました。
椎名は漫画、高橋は人物デザイン、隅沢は脚本協力
小学館の第1巻紹介には、三人の役割がそれぞれ記載されています。
椎名は絵を描くとともに、漫画のページ数に合わせて物語の構成も考えていました。
その工夫は、高橋との対談で具体的に語られています。

もともとの『犬夜叉』は、高橋の漫画です。
その世界から、殺生丸の娘であるとわとせつな、犬夜叉の娘であるもろはを中心にしたアニメ『半妖の夜叉姫』が生まれました。
椎名が手がけたのは、このアニメの漫画化です。
漫画版は全10巻で完結しています。
高橋の人物を描きたいという願いから、漫画化を申し出た
椎名は2022年の高橋との対談で、以前にも高橋が人物デザインに関わる作品の漫画化を打診されたと話しています。
それは『機動新撰組 萌えよ剣』でした。
椎名は『絶対可憐チルドレン』の連載が始まるために辞退しましたが、高橋の人物を自分の漫画で描く仕事には、ずっと興味があったそうです。
『絶チル』の終了が見えてきた頃、椎名は『半妖の夜叉姫』のアニメが動いていることを知ります。
担当編集者に漫画化の予定を尋ね、その予定がないと聞くと、自分が描きたいと申し出ました。
高橋は、その希望を何度か聞いて、椎名が本気で引き受けたいのだと分かったと振り返っています。

椎名にとって高橋は、漫画家を目指すきっかけになった大先輩です。
二人には、互いの作品を読み続けてきた交流もありました。
とわが居場所を見つける話として組み直す
椎名は、初めはアニメに沿って描くつもりだったと話しました。
漫画には決まったページ数があり、アニメの話や要素を詰める必要があります。
その中で、何を中心に話を組み立てるかを考えました。
椎名が選んだのは、とわを『犬夜叉』の世界から現代に迷い込んだ子として描き、元の世界へ帰すことでした。
椎名は、社会に違和感を覚える人が居場所を見つけるという、自分の好きなテーマにも合うと説明しています。

高橋は、長いアニメを短くまとめるのが漫画化だと思っていたと話しました。
実際に読んだ椎名の漫画は、その予想を超えていたそうです。
アニメの面白さを生かしながら、新しい構成の漫画になっていることを喜んでいました。
殺生丸の冷や汗と、娘たちの目つき
高橋が出した要望は、「殺生丸に冷や汗をかかせない」というものでした。
高橋は、殺生丸をあまり焦らない孤高の人物と説明しています。
漫画家が癖で描きがちな冷や汗にも、その人物らしさを守るための要望がありました。
椎名は、それ以外には面白くしてほしいと言われた程度で、自由に任されていたと説明しています。
高橋が第1話で評価したのは、とわ、せつな、殺生丸を一緒に印象づける描き方でした。
第1話では、まずとわの目つきの悪さを描き、続いて現れるせつなは、さらに目つきが悪いという見せ方をしています。
高橋は、二人の娘だけでなく、その父親の殺生丸まで伝わるところを、椎名の技術として挙げました。

とわとせつなの顔が少し面長であることも、高橋は椎名の絵に合い、殺生丸の娘として納得できると話しています。
高橋は、現代で暮らす日暮家の人々の反応も評価しました。
娘たちの顔つきから家族の会話まで、高橋は椎名の第1話に目を向けていたのです。
まとめ
高橋は対談で、漫画版がすでに椎名の漫画になっていると喜びました。
とわの物語を組み直すことと、殺生丸らしさを守ることが、同じ制作の中で行われています。
『半妖の夜叉姫』での椎名の仕事は、高橋の人物を受け継ぎながら、自分の漫画として読ませる構成を作ることでした。

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