安西信行の『鋼鉄日記』|休業後、一本の電話から始まった日記漫画

安西信行のエッセイ漫画『鋼鉄日記』の表紙 安西信行
『鋼鉄日記』/安西信行、竹書房。2015年3月27日刊。

安西信行さんの『鋼鉄日記(メタにっき)』は、漫画家を休業していた安西さんが、出版社からの電話をきっかけに描き始めたエッセイ漫画です。
『烈火の炎』や『MÄR』の作者が、今度は自分の暮らしを漫画にしています。
仕事の依頼や家での相談も、安西さんと自作のキャラクターの掛け合いで描かれています。

安西信行のエッセイ漫画『鋼鉄日記』の表紙
『鋼鉄日記』/安西信行、竹書房。2015年3月27日刊。 出典

『MIXIM☆11』を終えた後、漫画から離れていた

『鋼鉄日記』の冒頭には、2011年2月に『MIXIM☆11』の連載を終えた後、2013年夏まで漫画を描いていなかった時期が描かれています。
安西さんは、その頃の自分を、燃え尽きていたのだろうと振り返っています。

安西信行・野坂恒のMIXIM☆11第1巻の表紙
『MIXIM☆11』第1巻/安西信行・野坂恒、小学館。『鋼鉄日記』冒頭は、この連載を終えた後から始まる。 出典

竹書房の2015年の刊行発表も、長い週刊連載で体調を崩し、休業していた経緯を説明しています。
『鋼鉄日記』の連載が始まったのは2013年11月で、『MIXIM☆11』終了から約2年9か月後でした。
単行本の発売は2015年3月です。

一本の電話から、日記漫画の相談へ

休業中の安西さんに、出版社から電話がかかってきます。
誘いの言葉は「何でもいいので漫画描いてみませんか?」でした。
安西さんは、久しぶりに会った以前の仕事仲間と、新しい連載の話をします。

そこで出たのが、安西さん自身を題材にした日記漫画の案です。
編集者との相談では、4コマに限らず、安西さんの好みで描いてよいと話が進みます。
日記の中身をどうするかという話は、家で妻と話す場面にも続いていきます。

安西信行の描く登場人物と机に向かう作者を配した鋼鉄日記の連載予告カット
『安西信行の鋼鉄日記』連載開始の予告カット/安西信行、竹書房、2013年。 出典

仕事の話に、自作のキャラクターが交ざる

『鋼鉄日記』は、休業と再開の経緯を淡々と説明する漫画ではありません。
安西さんは、自分の状況を、これまで描いてきた登場人物との掛け合いでも見せています。
下ネタを話し始めた安西さんに、キャラクターから突っ込みが入る場面もあります。

家では、日記漫画を始めると聞いた妻が、何を描くのかと問いかけます。
話は安西さんの趣味から飼い猫へ移り、猫を題材にする案も出てきます。
安西さんの長編漫画を読んできた人には、見知った人物たちが、作者の仕事の話に参加する楽しさがあります。
描く内容がまだ決まっていないことまで、初回の落ちになっています。

作品は、安西さんの日常と、猫の「おもち」「コタロー」を擬人化した「おも×こた」の二本立てで始まりました。
漫画家の仕事の話と、身近な暮らしの話を、一緒に読めるエッセイです。

まとめ

描くことを止めていた時期にも、以前の仕事で知り合った人とのつながりは残っていました。
『鋼鉄日記』を読むと、ヒット作の作者という肩書の先に、知人と相談し、家で妻と話しながら、新しい連載の形を探す安西さんが見えてきます。

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