『烈火の炎』ジョーカーは自由を捨てず、紅麗のそばにいた

帝釈廻天を手にして笑うジョーカー 烈火の炎
画像出典:安西信行『烈火の炎』小学館

ジョーカーは紅麗に、楽しいことしかしたくない、つまらなければ麗を抜けると伝えていた。
仕えると決めた時から、自分の生き方を変えるつもりはなかったのだ。
紅麗が死んだと聞けば、普段の軽い調子を崩して生存を信じる。
自由に振る舞うジョーカーと、紅麗を大切にするジョーカーは、同じ人物の中にいる。

帝釈廻天を手にして笑うジョーカー
安西信行『烈火の炎』小学館

ジョーカーは、紅麗の命令通りには動かない

ジョーカーは、紅麗にため口を認めてほしいとも頼む。
麗に入る時から、自分の気ままな振る舞いを隠さなかった。
紅麗も、そんなジョーカーを受け入れている。

二人の関係は、裏武闘殺陣の決勝前の行動にも出る。
紅麗は小金井を斬るよう命じたが、ジョーカーが斬ったのは、小金井の友人・最澄だった。
小金井を怒らせ、本気の戦いへ引き出そうとしたのである。
紅麗の指示にそのまま従うより、自分が望む対戦を選んでいる。

鋼金暗器を手にした小金井薫
安西信行『烈火の炎』小学館

ジョーカーにとって小金井は、後に再戦を望む好敵手になる。
決勝で小金井に敗れた後も、ジョーカーは再び戦うことを楽しみにしていた。
所属が変わったから、小金井との関係まで切れるわけではない。
小金井自身も、紅麗を慕う気持ちと、麗を離れる判断を両立させていた。
麗の人物たちには、組織の命令だけでは決まらない関係がある。

軽口の奥にある思いは、別れの場面で表れる

森光蘭の襲撃後、紅麗が死んだという情報を、ジョーカーは信じなかった。
あの人が簡単に死ぬはずがないと、声を荒らげる。
軽口を叩いていたジョーカーも、紅麗の生死を前にしては、いつもの調子ではいられなかった。

SODOMでは紅麗とともに現れ、その後、小金井と組んで綺理斗を倒す。
ジョーカーは小金井との再戦を望むが、門都の乱入でその機会を失う。
小金井を先へ行かせて門都を引き受け、致命傷を負った末に、ブラックホールへ門都とともに消えた。
自分の望んだ次の勝負は、叶わなかった。

最期の「損な性格」という言葉には、楽しいことだけを望んでいた男が、思い通りには生き切れなかった苦さが残る。
再戦を楽しみにしていたからこそ、その先がなくなることが寂しい。

ジョーカーの名を呼び、拳を握りしめる紅麗
安西信行『烈火の炎』小学館、第29巻

ジョーカーを失った紅麗は、血がにじむほど拳を握る。
紅麗が好きだったのは、雲のようにつかみどころのないジョーカーだった。

ジョーカーは自分の楽しみを追いながら、紅麗のそばに残った。
紅麗も、その気ままな生き方ごとジョーカーを大切にしていた。
二人の結びつきが伝わるのは、従順さを示す言葉より、互いを失いかけた時と、実際に失った時の反応なのだ。

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