紅麗は、烈火が生まれたために「呪いの子」と呼ばれ、母の麗奈とともに里で疎まれた。
ところが終盤では、烈火のほうが呪いの子だったと明かされる。
この逆転を理解する鍵は、二人の性格や勝敗ではなく、炎の生まれ方にある。
紅麗には、自分の炎の型があった。
烈火には、それがなかったのだ。
紅麗を呪いの子にしたのは、里の人々だった
火影では、一代に二人の炎術士が生まれることを不吉としていた。
紅麗に続いて烈火が生まれると、どちらが呪いの子なのかが問題になる。
その場で紅麗に向けられるのは、邪悪な心と呪われた炎を持つという決めつけだ。
まだ幼い紅麗に、大人たちが災いの原因という役を押し付けている。

紅麗は、それまで当主になることを期待された子だった。
弟の誕生を境に、その扱いは逆転する。
母とともに疎まれた紅麗が烈火を恨むようになった経緯には、この変化がある。
紅麗の恨みは、邪悪な子だと決めつけられ、居場所を奪われた後に育っている。
父の桜火は、紅麗が呪われた子とされたことに怒りながらも、頭首として耐えるしかなかったと語る。
里が紅麗に与えた評価を、父がそのまま受け入れていたわけではない。
それでも紅麗の迫害は止まらなかった。
出生をめぐるこの話は、炎の能力を正しく見分けた話ではなく、幼い子の人生を変えてしまった判断の話でもある。
烈火の八竜は、生まれ持った炎ではない
紅麗の炎の型は、死者の魂を炎にする不死鳥である。
烈火の炎には、火球、刃、結界など、さまざまな形がある。
一見すると、烈火のほうが多彩な炎の才能を持っているように見える。
だが、それぞれの力を持っているのは、烈火の中にいる火竜たちだ。

桜火の説明では、七竜は烈火が生まれてすぐに桜火から離れ、紅麗ではなく烈火へ憑依した。
烈火はもともと、炎の資質を持たない人間だった。
他の炎術士の炎の型を宿したことで、炎術士として戦えるようになったのである。
紅麗が異常な炎を持つために呪われていたという、幼い頃の説明はここで崩れる。
正統の炎術士は紅麗であり、異なる成り立ちの炎を持っていたのは烈火だった。
裏武闘殺陣では烈火が勝つが、炎の由来はその勝敗では変わらない。
自分の炎の型を持つ紅麗に、火竜の力を借りる烈火が勝ったのである。
烈火が勝者だから正統の炎術士だった、という結末にはならないところが、この兄弟の関係の面白さだ。
火影を終える子は、邪悪な子ではなかった
烈火に託されていたのは、火影に関わる因縁を終わらせる役目だった。
里の人々が恐れた、火影に災いをもたらす子という言葉は、最後には火影の終焉へつながる。
烈火は柳を救おうと戦い、火竜たちの力を借りて天堂地獄と向き合う。

柳を炎にした最終決戦で、烈火の炎は、人々を救う癒しの力になる。
戦いを終えた後、火竜と炎術の力は消え、烈火たちは日常へ戻っていく。
火影に残った力と因縁が消えることで、烈火たちは戦いから離れられる。
紅麗に押し付けられた「呪い」は、紅麗の生まれつきの心を見抜いたものではなかった。
そして、烈火が本当の呪いの子だったという真実も、烈火が邪悪な人間だったという意味ではない。
火影にとっての災いが、火影に縛られた人々にとっては終わりと解放になる。
二人の炎の由来を知ると、この呼び名は、善い子と悪い子を分ける言葉ではなくなるのである。

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