原田は、天に赤木と同じ匂いを感じている。
成功を積み上げ、それを守るために身動きが取れなくなる原田から見ると、二人には自分と違う身軽さがある。
その天が、通夜で赤木に勧めるのは、天と妻たちのもとで家族として暮らすことだった。
赤木に似た男が、赤木の選んできた孤立とは違う暮らしを差し出す。
二人が似ているのは、成功を積むことに固執しないところだ。
人との関係の築き方には、二人の違いが見える。

天は、身軽でも人と分け合って暮らす
赤木は原田に、成功を少し積むと崩し、平らに戻してきたと話す。
勝ち取った地位や成功を維持することが、自分の行動を決めるようになるのを嫌う。
原田が天にも赤木との近さを感じたのは、成功を積むことに固執しない点だった。
その近さから、原田は赤木を引き止める相手として天に期待している。
天は初期から、自分の持ち物を抱え込むような男ではない。
第3話では、ひろゆきのジャンパーまで近所の人にあげてしまう。
ひろゆきは驚き、天には悪意がなく、人の物も自分の物も分けてしまうのだと受け止める。
天の周りでは、生活に使う物が、人から人へ渡っていく。

もちろん、ひろゆきにとっては迷惑な親切でもある。
天の気前のよさを、誰も困らせない美点にはできない。
それでも、この場面からは、天が他人と生活を分け合う側にいることが分かる。
同じように成功に固執しなくても、赤木の距離を置く生き方と、天の分け合う暮らしは違っている。
初期の天の親切がひろゆきを困らせる理由は、第3話の気前のよさを扱った記事でも詳しく扱っている。
天は、赤木と同じ生き方をしようとはしない
ひろゆきに対して、天は、ひろゆきはひろゆき、自分は自分、赤木は赤木で、同じ生き方は無理だと話す。
赤木の強さを認めることと、赤木を自分の人生の基準にすることを、天は分けている。
天は、赤木と同じ人生を送ることを、ひろゆきにも自分にも求めていない。
その見方は、赤木への家族の申し出にも表れる。
天は、自分と妻たちと赤木が、血のつながらない家族になることを提案する。
赤木が誰かと深くつながる暮らしを送ってこなかったことに、天は目を向けている。
天にとって赤木は、勝負の才があるから何も要らない人ではない。
強い赤木にも、これから誰かと暮らす時間があってよいと考えるのだ。
赤木は、自分の孤立は好きで選んだことだと答える。
天は赤木の強さを知っていても、赤木と同じ答えに納得するわけではない。
天が差し出したのは、自分とのつながりだった
赤木が家族の提案を断ると、天は、自分が赤木を死なせたくないのだとはっきり告げる。
天は、赤木の人生について説明するだけでは伝えきれなかった、自分自身の願いを口にする。
赤木が一人で終えるつもりでも、天にとって赤木は、失いたくない相手なのだ。

赤木は決断を変えなかったが、天の言葉に救われたと答える。
家族はいなくても、友はいたと認める。
違う暮らしをしてきた天が、赤木とこれからも一緒にいたいと願っている。

原田が感じた二人の近さは、何もかも同じという意味ではなかった。
天は赤木の身軽さを理解できても、赤木の孤立を自分の生き方にはしない。
自分の暮らしを大事にし、その中へ赤木を迎えようとする。
赤木に似ているところを持つ天が、赤木とは違う願いを譲らない。
自分とは違う願いを持つ天の言葉に触れて、赤木は、自分に友がいたと認めたのだ。


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