天と原田の二人麻雀の最終局で、天には逆転のために満貫が必要だった。
原田はその条件から天の手を絞り込み、待ちを次々に指定していく。
ところが、天が最後にツモったのは二萬。
原田が候補から外していた牌である。
原田の読みを外したのは、満貫には四翻が必要だという前提と、天が告げた「見逃し」の受け取り方だった。

満貫が必要だから、四翻の手を探す
天は原田の二索をチーし、テンパイを宣言する。
原田は、この鳴きによってリーチ、一発、門前清自摸和という役、裏ドラを考える必要がなくなったと判断する。
門前清自摸和は、鳴かずにツモ和了したときにつく役だ。
天はそれらに頼らず、役と表ドラで満貫に届かなければならない。
原田はこの条件を、四翻を作らなければならない、と捉える。

原田は天の捨牌、自分の手牌、天が晒した一・二・三索を材料にする。
混一色やチャンタ、三色同順、三暗刻など、満貫に届く役の組み合わせを考え、外れた指定や天のツモ切りによって候補を減らしていく。
原田は、天が必要な点数を作れる形を探しているのだ。
「見逃し」が、嵌二萬待ちを消した
途中で天は發を引き、「これでは和了れぬ」と「見逃し」を告げる。
天の手牌は伏せられたままだ。
原田はこの言葉から、天には安い和了と高い和了があり、天は安いほうを見送ったと読む。
その読みなら、待ちは一種類ではない。
原田の推理では、単騎、嵌張、辺張のように一種類の牌だけを待つ形が外れる。

ドラは二萬で、原田はその二萬を二枚持っている。
原田は天の二萬待ちを考えても、多面待ちの形では天の捨牌に触れ、フリテンになると判断する。
こうして、二萬を待つ可能性まで候補から外れる。
しかし、最後に明らかになる天の待ちは嵌二萬。
一萬と三萬の間を埋める二萬だけを待つ形だった。
天の「見逃し」という言葉を、多面待ちであることの証拠にした読みが、この待ちを隠したのである。
三翻でも満貫へ届いた、暗槓の32符
天は途中で中を重ね、暗槓する。
天の最終的な翻数は、白、中、ドラ一の三翻。
原田が探していた四翻には届かない。
それでも、この手は満貫になる。

鍵になるのは、翻数とともに点数を決める符だ。
中の暗槓だけで32符がつき、白の暗刻や嵌張待ちの符も加わる。
天の手の内訳は次のようになる。
| 符の内訳 | 符数 |
|---|---|
| 基本符 | 20 |
| 中の暗槓 | 32 |
| 白の暗刻 | 8 |
| ツモ和了 | 2 |
| 嵌二萬待ち | 2 |
| 合計 | 64 |
64符は十符単位で切り上げ、70符として計算する。
三翻70符なら満貫だ。
原田が四翻の手を探している間に、天は符を増やすことで必要な点数に届いていた。

天は最後に二萬をツモり、満貫を和了する。
親満の12000点に二本場の600点を加えた12600点が、原田との12000点差を上回る。
東西戦は、天の逆転で決着する。

天が見ていた、宣言後の可能性
原田は敗れた後、ステージBでは天だけがツモを続けることを振り返る。
看破に手間取る間に、天が白か中を重ねることはあり得た。
天に見えていたその可能性が、自分には見えていなかったと原田は認める。

原田は、天が宣言した手を四翻の満貫、多面待ちの手として絞っていった。
天が逆転に使ったのは、その読みから外れた嵌二萬と、宣言後のツモで符を増やす暗槓だった。
必要な点数を知ることと、その点数へ届く道を見尽くすことは違う。
原田は天を、手が成長する可能性まで見て勝負を続けた打ち手として認めたのである。


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