東西戦の決勝では、赤木しげるが卓にいるのに、東軍が思うように攻められない時間が続く。
西軍に追い詰められたひろゆきを、赤木が守らなければならないからだ。
ひろゆきの失点が、なぜ赤木の攻撃まで鈍らせるのか。
この場面では、和了っても自分の点棒が増えないという、決勝のルールが効いている。
和了は回復にならず、失点が残り続ける
決勝は、東西それぞれ四人、計八人による勝ち抜き戦だ。
和了によって他の選手から支払われる点棒は、すべて供託へ回り、和了った本人には入らない。
自分の点棒は支払いによって減っていき、持ち点を支払えなくなった選手が脱落する。
普段の麻雀なら、放銃して減った持ち点を、次の和了で取り戻すことができる。
この決勝では、一度受けた失点を、その方法では埋められない。

しかも、和了には満貫以上が必要になる。
満貫に届かない手を早く和了って、その局を終わらせることもできない。
ひろゆきの残り点棒は七千点。
次に満貫以上へ振り込めば、ひろゆきは脱落する。
ひろゆきが和了れる手を作ったとしても、その七千点が増えるわけではないのだ。
ひろゆきを守る負担が、赤木の手作りにも及ぶ
この勝負では、同じ陣営の選手が十巡で交代する。
卓の四人だけで個々の勝ち負けが決まるのではなく、交代する仲間を含めて、自軍の選手を残す必要がある。
ひろゆきが危険牌を切りかねない以上、赤木は自分の手だけを進めているわけにはいかない。
そこで赤木は、ひろゆきの失点を防ぐための慎重な打ち回しをする。

その負担は、赤木自身の手の遅れとして現れる。
西軍が天と赤木の二人を警戒すればよいという状況で、東軍はひろゆきのために、赤木の攻撃力まで十分に使えなくなっている。
ひろゆきが次の満貫に耐えられなくなったことで、赤木が攻める余裕も削られているのである。
銀次の攻撃は、ひろゆきの点棒を戻すためではない
守備を固める西軍に、一人で向かっていくのが浅井銀次だ。
銀次は原田の国士無双に対してもリーチをかけ、七筒のカンによって、新ドラ表示牌に白を出す。
その白は、原田が和了るために必要な最後の一枚だった。
原田の国士無双は和了れなくなり、銀次の手はドラが増えて満貫になる。


銀次の攻撃が成功しても、ひろゆきの七千点は回復しない。
それでも東軍には、西軍から点棒を奪い、脱落へ追い込む攻撃が必要になる。
ひろゆきの生存を支える赤木と、西軍を削りにいく銀次。
東軍は、その二つを同時に進めなければならない。
点棒が減るだけの決勝では、弱った仲間を守ることが、強い選手の攻撃まで止める場合がある。
この場面の赤木は、その技術をひろゆきの守備へ回している。
銀次が西軍へ攻め込む場面は、東軍がその苦しい役割分担から勝機を作ろうとする攻撃なのである。


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