船井は限定ジャンケンの序盤、カイジに「あいこ」を続ける作戦を勧める。
後半には、残った参加者にカードの配り直しを提案する。
一度裏切られたカイジまで、二度目の提案に加わった。
船井を再び信用したからではない。
二度の提案には、困っている人に役立つ方法を示しながら、最後の大事な操作を船井が握るという共通点がある。
最初の提案は、作戦として筋が通っていた
カイジと船井が十二回続けて同じ札を出せば、カードを使い切り、星三つを保てる。
船井はその方法を説明したうえで、カイジを組む相手に選んだと話す。
カイジが船内で借りた金を心配すると、船井は早く勝負を済ませれば利息を抑えられるとも説明する。


あいこを重ねる方法自体は、カイジにとっても有効だった。
だからこそ、船井の話を聞いたカイジは勝負に進む。
ただし、同じ札を出すかどうかは船井自身が決める。
船井は作戦の正しさを示せても、自分が約束を守る保証までは示していなかった。
その隙を使って船井は途中で札を変え、カイジの星を奪う。
二度目は、船井を疑うカイジも輪に入った
ゲーム後半、参加者の間では、自分の手札をほかの人に知られているかもしれないという不安が広がる。
このまま相手を探せず時間切れになれば、カードを残した人は負ける。
船井は参加者のカードを集めて混ぜ、配り直そうと呼びかける。
手札をいったん混ぜれば、相手に手を読まれる心配を減らせる。

船井は、賛同した人だけで勝負を続ければよいとも言う。
カイジは船井に裏切られたことを知っているが、勝負できる相手がその輪へ集まれば、外に残るのも危うい。
カイジは船井を信用し直したからではなく、相手を失わないために参加する。

最初はカイジ一人に「生き残れる道」を示した。
二度目は参加者の不安を解く案を示し、その輪から外れにくくした。
皆が混ぜても、最後に配るのは船井だった
参加者は集めたカードを混ぜる。
その作業に皆が加わると、配り直しは公平に見える。
だが、混ぜたカードを最後に受け取り、各人へ配る役は船井だ。
船井はカイジたちの大量のカードを投げ渡し、彼らが拾っている間に勝負を進める。

やがてカイジは、船井がカードに目印を付け、船井自身が勝てる相手を作ったと指摘する。
カイジは、皆にカードを混ぜさせたことを「偽りの安心感」と呼ぶ。
問題は、混ぜた回数ではなく、最後に誰がカードを手にして配ったかだった。
最初のあいこ作戦でも、船井は自分が出す札を決められた。
今度は、参加者の札を配る位置に立った。

船井が差し出したのは、ただの嘘や気休めではない。
あいこも配り直しも、その場の問題に答える方法だった。
最初の誘いではカイジの信頼を利用し、後半の呼びかけでは参加者を集めてカイジの選択肢を狭めた。
どちらでも船井は、作戦の最後の一手を自分で握っていた。
安心を与える説明と、その安心を裏切れる立場が一緒にあったから、二度の提案が通った。


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