『先生白書』の作者は、冨樫義博さんの元アシスタント、味野くにおさんです。
『幽☆遊☆白書』の連載が始まった頃から『レベルE』の時期まで、一緒に働いた日々を描いた実録漫画です。
冨樫さんが自分で書いた自伝ではなく、そばにいた人の目から仕事場を知ることができます。
作品の作り方だけでなく、食事やゲーム、スタッフとのやり取りも題材になっています。
冨樫さんの漫画が生まれる場所では、どんな毎日があったのか。
その空気に触れたい人に向く一冊です。
著者は『幽遊白書』第1回から参加した味野くにお
味野さんは、会社勤めを辞めて漫画の道へ進み、編集者の紹介をきっかけに冨樫さんの仕事場へ入りました。
本人のインタビューでは、『幽☆遊☆白書』の初回から手伝い始めたと話しています。
その後は『レベルE』にも参加し、冨樫さんのもとで働いた期間を1990年から1996年までと振り返っています。
『先生白書』は、その経験をもとに2017年に刊行された本です。
『HUNTER×HUNTER』連載開始前の仕事場を扱っているため、今の制作状況を知る本とは時代が違います。
四つの章で、仕事場から連載終了、その後までをたどる
出版社が公開している目次では、出会いと日々の仕事から始まり、制作現場、『幽☆遊☆白書』の終了、『レベルE』の頃へと進みます。
一つのヒット作が描かれていた時期と、その後の仕事を続けてたどれる構成です。
章の中には、ごはん事情やボーナス、キャラクターのペン入れ、ゲームなど、仕事と暮らしの両方が並んでいます。
単行本に載る完成原稿の裏側には、描く作業だけでなく、人と一緒に過ごす時間もあった。
そうした日々が、この本の題材になっています。
自作の漫画を読んでもらった、アシスタントの記憶
味野さんはアシスタントをしながら、自分の漫画も描いていました。
公開されている本の一場面には、ギャグ漫画のネームを冨樫さんに見てもらう出来事があります。
冨樫さんは、それを読みながら声を出して笑っています。
味野さんはインタビューでも、ネームに真剣な助言をもらえたことが嬉しく、参考になったと話しています。
冨樫さんは、一緒に原稿を仕上げる仕事相手であり、自作を読んでくれる先輩でもあったのです。
作品名や発行部数だけを追う経歴とは違い、こうした小さなやり取りを描けるのが、元アシスタントによる回想の特徴です。
冨樫さん本人も、刊行前に内容を確認していた
味野さんによると、『先生白書』は試し刷りの段階で、編集部を通して冨樫さんに確認してもらい、修正を加えています。
一緒に働いた人の回想を、描かれた本人にも確かめてもらう工程を経て、読者のもとへ届けられた本です。
本はイースト・プレス刊で、紙版は224ページ、ISBNは9784781615851です。
電子書籍版もあり、出版社の書籍ページから販売先を探せます。
まとめ
『先生白書』で近づけるのは、有名作品の作者という肩書きの奥にいる、同じ仕事場で日々を過ごした冨樫さんです。
スタッフの漫画を読んで笑う顔のように、大きな実績の紹介だけでは見えてこない姿が残されています。
『幽☆遊☆白書』や『レベルE』を読んだ後、作者が周囲の人とどう接していたのかにも関心が湧いたときに、手に取りたい一冊です。



コメント