『烈火の炎』鋼金暗器の六之型は、なぜ遠回りで生まれるのか

鋼金暗器を手にした小金井薫 烈火の炎
『烈火の炎』安西信行/小学館。

小金井は、鋼金暗器をわずか0.6秒で変形させる。
戦いながら薙刀や鎖鎌へ姿を変える武器を、小金井はパズルの才能で使いこなす。
ところが、幻の六之型にたどり着くには、得意な最短の手順から離れなければならない。
小金井がまだ知らなかったのは、六つ目の武器の形ではなく、武器がばらばらになり、再び組み上がる仕掛けだった。

鋼金暗器を手にした小金井薫
安西信行『烈火の炎』小学館

速く変形できるからこそ、通らなかった手順がある

鋼金暗器は、部品の組み合わせを変えて使う魔導具だ。
慣れた使い手にも時間のかかる変形を、小金井は素早く済ませてしまう。
次に使いたい武器へ最短の手順で変えられることが、小金井の強みだった。

六之型を出すには、壱から五までの変形で、あえて遠回りをする必要がある。
小金井は最短の手順を使っていたため、部品をすべて分離させる手順に気づかなかった。
変形が速いことと、武器の仕組みをすべて知っていることは、ここでは別なのだ。

ジョーカーとの対戦で、小金井は遠回りをした時の違う感触に気づく。
その手がかりから現れた六之型「無」は、鋼金暗器の部品がすべて分離した状態だった。
薙刀、鎖鎌、弓のような完成した武器を一つ増やす型ではない。
武器をばらばらにすること自体が、次の攻撃の準備になる。

「無」は、元の型に戻る時に攻撃になる

ばらばらになった部品は、鋼金暗器の核である魔玉へ集まっていく。
「無は型へ還る」という説明は、分解したまま終わるのではなく、再び武器を組み上げることを指している。
魔玉が対戦相手のところにあれば、その相手へ向かって部品が集まる。
元の形へ戻る仕組みが、そのまま四方から襲う攻撃になるのだ。

帝釈廻天を持つジョーカー
安西信行『烈火の炎』小学館

ジョーカーは、帝釈廻天で重力を操る。
小金井が五之型の弓で放った矢も、重力結界に阻まれていた。
六之型では、鎖がジョーカーを締め付け、分離した部品がジョーカーへ向かう。
ジョーカーの重力は、その部品が突き刺さる速度を増すことになった。
矢を止めた力が、今度は小金井の攻撃を速めてしまう。

この勝負で小金井が見つけたのは、鋼金暗器の組み立て方に隠れていた攻撃だった。
小金井のパズルの才能は、武器を素早く変える技術から、遠回りにある仕掛けを解く力へと、ジョーカー戦の中で違う働きを見せている。

『烈火の炎』第15巻の表紙
安西信行『烈火の炎』第15巻/小学館

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