真島ヒロは三つの連載をどう作り分けた?『RAVE』から『EDENS ZERO』への変化

真島ヒロの2020年公開インタビュー掲載写真 漫画家・作者
真島ヒロ。2020年公開の本人インタビュー掲載写真。出典:https://news.livedoor.com/article/detail/17873827/

真島ヒロは、代表的な三つの長期連載で、物語を準備する方法を変えてきました。
『RAVE』は先の展開を作り込み、『FAIRY TAIL』は描きながら世界や人物を広げ、『EDENS ZERO』は事前の構想と、その場で生まれる面白さを組み合わせています。
この違いには、初連載で苦戦した経験と、次の一話を読者に楽しんでもらうための試行錯誤がありました。

真島ヒロの2020年公開インタビュー掲載写真
真島ヒロ。2020年公開の本人インタビュー掲載写真。 出典

『RAVE』で用意した面白さを、先送りできなくなった

初連載の『RAVE』では、プロになる前から考えていた物語が作品に反映されました。
真島は2021年の本人インタビューで、展開だけでなく、登場人物が辿る運命も決めていたと振り返っています。
ハルたちの敵として現れるレットが、後に仲間になる流れも、その構想に含まれていました。

真島ヒロ RAVEのレットが真の仲間について話すコマ
『RAVE』のレット/真島ヒロ、講談社。 出典

ところが、序盤の読者アンケートは伸びませんでした。
担当編集者から、最も面白いと思うところを入れなければ連載が終わると指摘されます。
真島は、後のために取っておいた見せ場を早く出すようになり、人気が少しずつ上がったと話しています。

この経験から、次作『FAIRY TAIL』では先の展開を決め込まず、次の一話の面白さを追うようになりました。
『RAVE』で用意した大筋と、連載中に変えた展開については、結末の構想を扱った記事で紹介しています。

『FAIRY TAIL』は、ナツたちを描きながら世界を広げた

『FAIRY TAIL』では、世界の設定や人物の過去を、連載しながら考えていきました。
真島が2020年の本人インタビューで、開始時に決まっていた設定として挙げたのは、ナツがドラゴンに育てられ、そのドラゴンを探していることです。
翌年の回答では、主人公と仲間たちを決めて始め、世界の設定や人物の過去は物語を作りながら決めたと説明しています。

ハッピーも、最初は可愛い猫がナツのそばにいると絵が映える、という発想から生まれました。
ハッピーがエクシードであるという設定は、第1話の時点では考えていなかったそうです。

FAIRY TAIL 第1話、列車で気分の悪くなったナツとハッピーの初登場
『FAIRY TAIL』第1話、ナツとハッピー/真島ヒロ、講談社。 出典

連載中、真島には次々とアイデアが出てきました。
当初は単行本10巻ほど、1年半から2年ほどで終わるつもりだった作品が、全63巻、11年の連載になります。
真島は、そこまで続いた理由として、アイデアに加え、読者の反響が大きかったことを挙げています。

最終回の構想が見えてきたのは、本人の記憶では冥府の門編を描いていた頃です。
始める前に長い旅の終点を用意した『RAVE』から、連載を重ねながら終わりを見つける作品へ、作り方が変わったのです。

『EDENS ZERO』では、準備した展開と連載中の発想を両方使う

その後の『EDENS ZERO』について、真島は2020年に、前の二作品の中間に当たる作り方だと話しています。
2021年の新人への回答でも、あらかじめ決めた部分と、連載中のライブ感を大切にする部分が半々だと説明しました。
作り込んである展開や設定を、これから描くことも楽しみにしていたそうです。

EDENS ZEROで、マザーに会いに行くと宣言する主人公シキの原作コマ
マザーに会いに行くと話す『EDENS ZERO』のシキ/真島ヒロ、講談社。 出典

『EDENS ZERO』では舞台を宇宙へ変えましたが、真島は、バトルアクションという自分の作風を保つ考えでした。
新しい舞台を試しながら、物語の作り方でも、構想を用意する楽しさと、連載しながら考える楽しさを両方残していたのです。
これらは2020〜2021年、連載中に語った作り方です。
『EDENS ZERO』は2024年に完結しています。

まとめ

三作品の制作談で真島が語るのは、準備の多さだけではありません。
『RAVE』で面白い場面を待たせずに描くようになった経験が、『FAIRY TAIL』の作り方につながりました。
『EDENS ZERO』では、用意した物語を描く楽しさも取り入れています。
連載の経験から、次の作品でどこを決め、どこを描きながら考えるかを変えていく。
その変化を知ると、三つの長編は、真島が物語の作り方を試してきた歩みとしても楽しめます。

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