『霊媒師いずな』は、原作・真倉翔さん、漫画・岡野剛さんという、『地獄先生ぬ~べ~』と同じコンビの作品です。
本編に登場した葉月いずなが高校生になり、霊媒師として人々の相談を受けます。
学校の怪異から、仕事や結婚など大人の生活にも怪談が広がりました。

文庫化をきっかけに生まれた、二人の次の仕事
真倉さんと岡野さんは、共通の担当編集者の提案でコンビを組み、『ぬ~べ~』を作ってきました。
『いずな』へつながるきっかけの一つになったのが、『ぬ~べ~』の文庫化です。
二人が2013年に台湾で受けた取材では、文庫化で再び集まった際、これからも一緒に仕事をしようと考えた経緯が紹介されています。
そこで『ぬ~べ~』の登場人物を主人公にした、別のシリーズへと進みました。
文庫は昔の作品を読み返す機会であると同時に、二人が次の作品を考えるきっかけにもなったのです。

高校生のいずなが、街で怪異に向き合う
『ぬ~べ~』で中学生だったいずなは、外伝では女子高生です。
イタコとしての力やクダ狐を使い、怪異に巻き込まれた人を助けます。
本編で主人公を務めた教師のぬ~べ~に代わり、この外伝では、いずなが街の人々と関わっていきます。
第1巻の冒頭では、身に覚えのない痴漢の罪を着せられた男性が登場します。
会社に知られれば左遷される、と男性は考えます。
怪異の怖さが、社会の中で立場を失う不安と隣り合っています。

仕事や夫婦の問題も、妖怪の事件になる
相談者が変わると、妖怪に巻き込まれるきっかけも変わります。
第1巻では、カルト集団の共同生活に入り込む女性や、何度も火事に遭うアイドルの事件も扱います。
相談内容は、学校の中だけでは収まりません。
第2巻になると、仕事にのめり込む男性と家族の問題、新婚生活を前に命を奪われた女性、妻の言動を恐れる夫などが登場します。
人々が抱える問題は、働くことや家庭を持つことと結びついています。
いずなが向き合うのは妖怪ですが、その背後には大人の生活があるのです。

真倉さんは『ぬ~べ~』で、妖怪を子供の悩みと組み合わせて話を作る方法を語っています。
『いずな』では、その悩みの範囲が仕事や夫婦の関係へも広がりました。
妖怪を知る楽しさと、人間の問題に触れる怖さを組み合わせる話作りが、違う生活の場で続いています。
『ぬ~べ~』を読んで育った人に向けて
『いずな』が掲載されたのは、『オースーパージャンプ』『スーパージャンプ』などの青年誌です。
先ほどの台湾での取材でも、当時『ぬ~べ~』を読んで育った30代を主な読者に据えていたことが紹介されています。
主人公の年齢が上がっただけでなく、想定する読者も大人になっていました。

子供の頃から二人の漫画を読んできた、と言われることについて、真倉さんは責任の重さを感じると冗談を交えて話し、岡野さんはうれしいと答えています。
昔の作品を知る読者が成長し、今度は青年誌で二人の新しい怪談に出会う。
『いずな』には、登場人物だけでなく読者との再会という面もあります。
まとめ
成長した登場人物と再会する楽しさに、仕事や家庭で出会う怖さも重なります。
『霊媒師いずな』は、『ぬ~べ~』を読んでいた人が、大人になった自分にも近い悩みを通して、二人の怪談へ戻れる外伝です。


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