福本伸行さんは2020年の取材で、基本的には、掲載より先に漫画を描き、原稿をためておくと話しています。
その利点は、締切が近づいてから慌てずに済むことです。
さらに、数話描いた後で、もっとよい展開に気づいたときにも直せる。
先に仕事を進めることが、物語を変える余地にもなっていました。

掲載より先に描き、原稿をためておく
2020年の本人インタビューでは、映画『カイジ ファイナルゲーム』の脚本を作る間も、漫画の制作を続けていた福本さんに、締切の守り方が尋ねられました。
福本さんは、基本的には先に描きためるタイプだと答えています。
月に6本の漫画原稿を描いていたこともあり、ためた原稿があるから、締切に追われることはないと説明しました。

先行していれば、掲載する回の締切が来る頃には、原稿が用意されています。
数話描いてからの気づきを、原稿へ反映できる
福本さんは、2009年のインタビューでも、早めに仕事を始める利点を説明しています。
話を決めて描き始め、何本か原稿がたまったところで、やはり変えようと気づくことがある。
そのとき、締切までの時間が残っていれば、変更を反映できるのです。
福本さんは、締切に追われる仕事では、その気づきを生かせないと話しています。
福本さんは、自分もだらだらすることはあると認めています。
それでも、後で追い詰められて苦しむのは自分だと分かっている、と話しました。
仕事を後回しにするのは損だ、という本人の言葉には、最後に間に合わせる苦労と、直す機会を失うことの両方が含まれています。
『アカギ』では、編集者も確認をやり直した
担当編集者の若島茂男さんが2017年に語った『アカギ』の制作にも、途中で直す仕事が出てきます。
若島さんによれば、福本さんは全体の流れと一話ごとの描き方を考え、連載中に面白いネタを思いつけば、最初の設計とは逆の展開にすることもありました。

福本さんはアイデアを締切ぎりぎりまで練り、さらに差し替えることもある。
若島さんは、差し替えがあると、編集側も、牌の流れに矛盾がないか、確認をやり直すと説明しています。
話を変えるのは、作者だけで終わる作業ではなかったのです。

福本さんは、勝負の結末から逆算する作り方も語っています。
その一方で、描く途中に見つかった面白さによって、予定を変えることもある。
準備した話を進める仕事と、できあがりつつある話を直す仕事が、福本さんの制作にはあります。
締切に追われたとき、先行する大切さを実感した
2020年の取材で、福本さんは、当時、制作が滞り、久しぶりに締切に追われたことも語っています。
その働き方は体に悪く、気持ちにも負担がかかると感じたといい、やはり先行して描く必要があると話しました。
早めに進める方針は、思いついた変更を使うためにも、自分を追い詰めないためにも、大切だったのです。
まとめ
原稿がたまったところで、やはり変えようと気づく。
福本さんが語ったこの経験には、先に仕事を進める、創作上の利点が表れています。
間に合わせる余裕を作ることが、面白さに気づいたときに直せる余裕にもなるのです。


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