鵜堂刃衛は、剣心と剣を交えた後、薫をさらって再戦を求めた。
刃衛が戦いたかったのは、今の剣心よりも、幕末に名をはせた「人斬り抜刀斎」だった。
そのために刃衛は、剣心が大切にしている薫を危険にさらす。
刃衛が求めた勝負と、剣心が守ろうとしたものは、最初から食い違っていた。
刃衛が狙う相手は、警護対象から剣心へ変わった
刃衛は当初、明治政府の要人を斬る仕事を引き受けていた。
剣心はその要人を守る側として刃衛と戦う。
剣心が刃衛の攻撃に対応すると、刃衛は剣心の腕に関心を向ける。

刃衛は、剣心がかつての人斬り抜刀斎だと知り、剣心との決着を望む。
だが剣心は、もう人を斬らないと決め、逆刃刀を使っている。
刃衛には目の前に強い剣士がいるだけでは足りなかった。
刃衛は、殺し合いの相手としての抜刀斎を求めたのだ。

薫を苦しめたのは、剣心の剣を変えるため
刃衛は薫をさらい、剣心を呼び出した。
薫を人質にすれば、剣心は怒り、幕末のような剣を振るうと刃衛は考えた。
対決の途中、刃衛は薫に「心の一方」を強くかけ、呼吸を奪う。
刃衛を殺さなければ薫を助けられないと思わせ、剣心の殺意と技をさらに引き出そうとした。

剣心が刃衛を斬ろうとしたとき、刃衛は喜ぶ。
刃衛にとって薫の苦しみは、望んだ相手と戦うための手段だった。
刃衛が望む強い相手を引き出すほど、薫の命は危険にさらされた。
剣心が刃衛を殺そうとまでしたのは、薫を救うためだった。
刃衛が利用した薫が、剣心を止めた
刃衛は、抜刀斎を呼び戻すために薫を選んだ。
その薫は自力で心の一方を破り、刃衛にとどめを刺そうとする剣心を呼び止める。
薫の声を聞いた剣心は、刃衛を殺さずに刀を止めた。
刃衛は最後まで、人斬りは死ぬまで人斬りだと言い切る。
刃衛の目には、薫を守るために一時的に殺意を取り戻した剣心こそ、求めていた抜刀斎だったのだろう。
だが薫の呼びかけで刀を止めた剣心も、同じ剣心である。
刃衛は剣心の過去を引き出すために薫を利用したが、薫の声が剣心を今の生き方へ引き戻した。


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