『るろうに剣心』縁はなぜ薫を殺せず、島からも帰さなかったのか

剣心と縁が描かれた『るろうに剣心』27巻の表紙 るろうに剣心
『るろうに剣心』27巻/和月伸宏・集英社

神谷道場に残された薫の遺体は、人形だった。
縁は本物の薫を島へ連れ去り、剣心には薫が死んだと思わせた。
なぜ縁は薫を殺せず、島からも帰さなかったのだろう。

殺せなくても、剣心には死を信じさせた

縁は剣心を殺すのではなく、薫を殺して剣心を苦しめようとした。
剣心に巴を失った自分と同じ苦しみを味わわせるためだ。

剣心を自分と同じ生き地獄へ落とすと宣言する縁の原作場面
『るろうに剣心』人誅編/和月伸宏・集英社

縁は実際には薫を殺せなかった。
幼いころ、縁は剣心の刀で姉の巴が死ぬところを見ている。
巴と同じ年ごろの女性を殺そうとすると、縁の体が拒む。
そこで神谷道場には、外印が作った薫そっくりの屍人形が残された。
剣心は薫が死んだと信じ、刀を封じて落人群へ行く。
本物の薫を殺さなくても、縁は剣心から薫を失ったと思わせることができた。

神谷道場に残された薫の屍人形の原作場面
『るろうに剣心』人誅編/和月伸宏・集英社

薫を帰せば、偽装は崩れる

島で縁は薫を軟禁する。
縁は薫に、東京へ帰すとも話している。
ただ、薫がその時点で東京へ戻れば、剣心は薫の生存を知る。
剣心に薫の死を信じさせた偽装は、それでは崩れる。
縁は薫を殺せない一方で、剣心を苦しめる人誅を自分から終わらせることもできなかった。

薫を帰すという縁の言葉は、薫をすぐ自由にした行動とは違う。
縁が島に薫を置いたままにした間、剣心は薫の死を信じ続けた。

再び殺そうとしても、体が止まった

縁の前に現れる巴の姿が笑わなくなると、縁は薫を殺そうとする。
縁は発作を起こし、薫の命を奪えなかった。
薫も、縁が自分を「殺さない」のではなく「殺せない」のだと気づく。

命を落とす巴の原作場面
『るろうに剣心』追憶編/和月伸宏・集英社

薫を殺せないことは、縁が復讐を捨てた証拠にはならない。
縁は薫の死を偽り、剣心を絶望させた。
さらに島でも薫を殺そうとした。
縁の体は巴を失った日の記憶から薫の死を拒み、縁自身はなお剣心への恨みにしがみついていた。
薫を島に留めたのは、その二つが同時に続いていたためだった。

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