あだち充の風景に糸井重里が感じた切なさ|『タッチ』の町をめぐる対話

椅子に座って対談する糸井重里とあだち充 あだち充
2024年公開の対談。左:糸井重里さん、右:あだち充さん/ほぼ日。

糸井重里さんは『タッチ』の景色について、町の中に一人でいる人物を見ると、切なさが増すと話しています。
2024年公開の、あだち充さんとの対談での言葉です。

椅子に座って対談する糸井重里とあだち充
2024年公開の対談。左:糸井重里さん、右:あだち充さん/ほぼ日。 出典

故郷を重ねた糸井重里、資料にした近所を語る作者

糸井さんは、高い建物が少なく、いろいろな場所へ歩いて行ける町並みに、自分も知る前橋や伊勢崎を重ねていました。
一方、あだちさんが当時の風景資料に使っていたのは、近所の練馬近辺で撮った写真です。
舞台は一応東京として描いたものの、東京らしさはあまり出てこないと説明しています。
学校や練習グラウンドへ歩いて行ける距離感も、現実の東京をそのまま再現したものではありません。

住宅街の道と電柱、大きな雲、喫茶店の看板が描かれた漫画のページ
糸井重里さんとの対談に掲載された風景のページ。©あだち充/小学館。 出典

一人で歩く人物がいるから、町が切なく見える

糸井さんが惹かれたのは、町の見た目だけではありません。
うれしいときも、悲しいときも、言いたいことを言えなかったときも、人物が景色の中に一人でいる。
そこで、どうしようかと歩く姿を見せられると、切なさが増すと話しています。

少し歩けば河原に出る町は、試合へ行くための背景だけでなく、人物が一人で気持ちを抱える場所にもなっていました。
あだちさんが資料にした近所の景色を、糸井さんは自分の知る町や、そこで過ごす人物の心情と重ねて読んでいたのです。

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