あだち充さんは、甲子園ではまず地元の群馬勢を応援し、敗退すると近くの県の学校へ応援先を移すと話しています。
一方、桑田真澄・清原和博のような選手が現れると、そのすごさに引かれてしまったとも振り返りました。
元担当編集者の話からは、話題の球児に加えて、ベンチやスタンドにも目を向ける観戦の様子が伝わってきます。
まずは地元・群馬の学校を応援する
2012年掲載の『Number』のインタビュー「僕とタッチと甲子園」で、あだちさんは、甲子園で応援する学校の選び方を語っています。
最初は群馬の学校に肩入れし、その学校が負けると、近くの県へ応援先を移していくというものでした。
あだちさん自身は、群馬県の前橋商業高校の出身です。
2005年の甲子園では、前橋商の応援団が、あだちさんのイラストを印刷したうちわを持つ様子も写真に残っています。

漫画で何度も甲子園を描いた作者にも、地元の学校を応援する観客としての楽しみがありました。
清原の力強さや、道具を大切にする姿に引かれた
同じインタビューであだちさんは、『タッチ』を描いていた時代の高校野球を振り返っています。
早稲田実業の荒木大輔、池田高校、そしてPL学園へと、強い印象を残す選手や学校が続けて現れた時代でした。
あだちさんが特に好きだったのは、清原でした。
圧倒的な実力に加え、礼の仕方や、バットを大切にする様子もかっこよかったと話しています。
地元を応援していても、そんな選手が現れると、その魅力を認めずにはいられなかったのです。

強い選手への驚きだけでなく、しぐさや道具の扱い方まで、本人の記憶に残っていました。
ブルペン捕手や、スタンドの選手にも目を向ける
『クロスゲーム』などを担当した市原武法さんは、2026年公開の柳川悠二さんとの対談で、あだちさんの観戦の様子を紹介しています。
甲子園へ足を運び、一般席で名物のカレーを食べながら観戦する。
地方大会の一回戦もテレビで見ていて、ブルペン捕手やマネージャー、スタンドで応援する選手に注目することもあるそうです。

市原さんは、あだちさんが、甲子園を目指す最後の夏の試合は、地方大会の一回戦でも甲子園決勝でも面白いと話していることも紹介しました。
市原さんは、ほとんどの学校がどこかで敗れる高校野球が、敗者に優しいあだち作品の世界とよく合うとも話しています。
まとめ
高校野球では、優勝校以外の学校はどこかで夏を終えます。
その一試合にも面白さがあるとする見方は、敗れた人物にも物語が続く、あだち作品の読み味とつながっています。
観客としての作者の話から、漫画に描かれる青春の見え方も、少し広がるのです。


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