徳弘正也さんの作品歴は、『シェイプアップ乱』などの学園ギャグから、『ジャングルの王者ターちゃん』、近未来SFの『狂四郎2030』、時代劇の『もっこり半兵衛』へと広がっています。
『ターちゃん』の前にも後にも、舞台や主人公の違う作品があります。
主な連載作品を順に整理し、『ターちゃん』以外も読んでみたい人に向けて紹介します。
主な作品一覧――単行本の第1巻が出た順
下の年は、紙の単行本第1巻の発売年です。
連載の開始年や、後から電子版が配信された年とは分けています。
たとえば『シェイプアップ乱』の連載は1983年、『狂四郎2030』の連載は1997年に始まっています。
『ターちゃん』以前は、学園や刑事もののギャグ
徳弘さんは1982年、『美女は肉料理がお得意』で第17回赤塚賞の佳作を受賞しました。
翌1983年に『週刊少年ジャンプ』で連載デビューした作品が、『シェイプアップ乱』です。
ボディービルで鍛えた女子高生の寿乱子と、親戚の宗一郎を中心にした学園漫画です。
力の強い主人公を描く仕事は、ターちゃん以前から始まっていました。

『ターヘルアナ富子』では、舞台に医療が加わります。
町医者の娘・亀田富子は、高校生ながら手術の腕を持つ少女です。
空手の達人である幼馴染みの天童空也とともに、騒動を起こしていきます。
この時期には、『スーパージャンプ』掲載の『ふんどし刑事ケンちゃんとチャコちゃん』もあります。
敏腕刑事の剣崎警部と、新米刑事の茶屋四郎が組む作品です。
初期の仕事を振り返る時にも、学園ものだけでなく、刑事ものまで並びます。
『ターちゃん』は、日常の笑いから格闘へ
1988年に連載が始まった『ジャングルの王者ターちゃん』は、ジャングルを守るターちゃんと、妻のヂェーン、動物や仲間たちの暮らしを描きます。
初期には7ページの短いギャグを描いていたことを、徳弘さん自身も振り返っています。
後の『新ジャングルの王者ターちゃん』は、同じ主人公たちの物語が続くシリーズです。
第1巻には、暗殺者との戦いや、異種格闘技のオープントーナメントが収められています。

その後の少年誌の作品には、カッパと人間の間に生まれた河太郎が母を探す『水のともだちカッパーマン』があります。
『Wrestling with もも子』では、女子レスリングの王者・持合もも子と、レスリング同好会を作ろうとする岡イサムの学園生活を描いています。
妖怪との暮らしや部活動にも、徳弘さんの描く笑いの場が広がっています。
『狂四郎2030』と『バンパイア』で、近未来や不老不死へ
『ターちゃん』の後の代表作として挙がるのが、1997年から『スーパージャンプ』で連載された『狂四郎2030』です。
舞台は、第三次世界大戦を経た2030年の日本。
生き残った狂四郎と、科学者の脳を移植された犬のバベンスキーが出会います。
ジャングルから、戦争の傷を抱えた近未来社会へ、物語の舞台が大きく変わります。

続く『昭和不老不死伝説 バンパイア』では、不老不死の生命体マリアをめぐる人々の愛情や欲望を扱います。
彼女を愛する人物の一人が、超能力を持つ少年・本田昇平です。
『近未来不老不死伝説 バンパイア』は、『昭和』の物語から10年後を描く続編です。
成長した昇平が生きる2014年の日本は、マリア会に支配されています。
読む順番は『昭和』全5巻から『近未来』全5巻へ、二作品合わせて全10巻です。
一方、その後の『ふぐマン』は、美人と話すことが苦手な科学者・虎ノ助が、虎の力を得ようとしたのに、同僚のミスでトラフグの遺伝子を取り込んでしまうコメディです。
SFや重い題材を描くようになっても、徳弘さんの作品歴からギャグがなくなったわけではありません。
小学館で発表した『亭主元気で犬がいい』も、笑いと厳しい事情が同居する作品です。
殺人犯の妹として差別されてきたマリが、温かい男性・連太郎と出会うところから始まります。
夫となった連太郎が犬に生まれ変わり、探偵となるマリとともに事件を解いていくサスペンスです。
『黄門さま』と『もっこり半兵衛』で、江戸を描く
時代劇を読みたいなら、『黄門さま~助さんの憂鬱~』と『もっこり半兵衛』があります。
『黄門さま』の主人公は、貧しさから抜け出そうとする侍の井上進ノ助です。
水戸藩の剣術指南役を目指して受けた試験は、実は命を落とした「助さん」の後任を選ぶものでした。
水戸光圀の旅に、仕官したい若者の側から入っていく作品です。

『もっこり半兵衛』の主人公・月並半兵衛も、剣術の腕を持つ男です。
半兵衛は脱藩した後に、月一両で江戸の夜廻りをする暮らしを送っています。
娘のさおりと暮らし、夜の町で人々を守る半兵衛の仕事が描かれます。

2026年9月の集英社の作者紹介でも、『もっこり半兵衛』はWeb連載中の作品として案内されています。
『ターちゃん』だけで徳弘さんの作品を知っていた人も、江戸の町を描く近年の仕事までたどれます。
まとめ
徳弘さんの作品歴は、「ギャグからシリアスへ」という一度きりの転向では収まりません。
『狂四郎2030』の後にも『ふぐマン』があり、江戸で暮らす人々を描く時代劇へも、舞台を広げています。
『ターちゃん』から次の一作を探すなら、好きだったものが短い笑いなのか、格闘なのか、人情なのかを手掛かりにできます。
昔の作品へ戻る読み方も、新しい時代劇へ進む読み方もできる作品歴です。



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