田村由美が『はみだしっ子』を「バイブル」と呼ぶ理由

三原順の漫画はみだしっ子、白泉社文庫第1巻の表紙 漫画家・作者
三原順『はみだしっ子』文庫第1巻/白泉社。

田村由美さんが、大きな影響を受けた漫画として挙げたのが、三原順さんの『はみだしっ子』です。
田村さんは2002年のインタビューで、このシリーズを「バイブル」と呼んでいます。
読み返すたびに、自分の中にあった痛みや、大切な人への思いが呼び起こされる。
その台詞に、考え方を揺さぶられる作品だったと話しています。

三原順の漫画はみだしっ子、白泉社文庫第1巻の表紙
三原順『はみだしっ子』文庫第1巻/白泉社。 出典

『BASARA』の読者から、影響を受けた漫画を聞かれて

2002年の公式インタビューでは、『BASARA』を読むと頑張ろうと思い、人にも優しく接したくなるという読者が、田村さん自身の影響作を尋ねています。
田村さんは、絵にも物語にも、年代ごとにたくさんの作品から影響を受けてきたと答えました。
その中で、特に大切な一作として挙げたのが『はみだしっ子』でした。

『はみだしっ子』は、親に見捨てられたグレアム、アンジー、マックス、サーニンという四人の少年が、寄り添いながら旅をする物語です。
自分を愛してくれる人や居場所を探す少年たちを描いています。

田村さんが語ったのは、その漫画を読んだときに自分の中で起こることでした。
自分でも気になっていながら、普段は忘れているつらい気持ちがある。
理不尽なことへの怒りや、どうにもできないもどかしさ、大切な人への思いが、読むたびにあふれてくるそうです。

痛みだけでなく、考え方が変わる台詞

田村さんは『はみだしっ子』の魅力を、「セリフがつきささる」と表現しています。
その言葉は痛みを伴うこともあれば、温かさやうれしさを感じさせることもある。
自分がとらわれていた考えを覆されることもあると話しています。

悲しい出来事に涙を流すだけでなく、自分の考えを問い直したり、うまく言えなかった気持ちに気づいたりする。
田村さんにとって、読み返すたびに心が動くのは、そういう漫画でした。
そんなふうに読者の心を動かす漫画を描くのは難しく、自分にはできないとも語っています。

『サイボーグ009』『トーマの心臓』も特別な作品

同じ回答で、田村さんは石ノ森章太郎さんの『サイボーグ009』と、萩尾望都さんの『トーマの心臓』も挙げています。
この二作も、心が震えるほど大切で愛しい作品だと話しています。

絵の面で最も大きな影響を受けた相手として挙げたのは、学生時代の漫研の友人たちでした。
とても絵がうまい仲間ばかりで、その環境がなければ漫画家にはなれなかったと思う、と田村さんは振り返っています。

まとめ

このインタビューは、『BASARA』に心を動かされた読者の質問から始まっています。
その質問を受けて田村さんが語ったのは、自分自身も、別の漫画に何度も心を動かされてきたという読書体験でした。

田村作品を好きになった人が、今度は田村さんの大切な一冊を開く。
『はみだしっ子』を知ることは、好きな作者を通じて、自分にはまだなかった漫画との出会いを広げることにもなります。

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