『今日から俺は!!』や『天使な小生意気』の西森博之さんは、2012年に初の小説『満天の星と青い空』を刊行しています。
執筆の出発点は、文明が急になくなったら、人々はどう行動するのかという想像でした。
普段の生活を支えるものを失った世界へ、強い人や誇りを持つ人を置いてみる。
その関心から生まれた、高校生たちの青春サバイバル小説です。

『ロビンソン・クルーソー』から、暮らしを想像する発想へ
西森さんは、2014年の「まんが家バックステージ」で、『ロビンソン・クルーソー』を読んだときの感想から、この小説の話を始めています。
飲み水を得て、無人島で長く暮らすにはどうすればいいのか。
西森さんは、そうしたことを細かく考える作者の姿を感じ、自分も同じような想像で眠れなくなると書いています。

西森さんが思い浮かべたのは、文明を突然失った人々でした。
映画や音楽、テレビのある生活に慣れた人が、夜の明かりまで失ったらどうするのか。
日常の便利さが消えたときの、人間の行動に興味が向いていたのです。
金属を失う世界で、高校生たちは家へ帰ろうとする
小説では、金属が急速に腐食し、文明が崩れていきます。
京都へ修学旅行に来ていた高校生の中澤真吾たちは、徒歩で東京へ戻る旅に出ます。
法や秩序も失われていく道中を、仲間と進む物語です。
小学館の小説紹介では、真吾は喧嘩が強く、大きな危機の中でも自分の心が高鳴らないことに戸惑う人物として説明されています。
一方で、同級生の鈴音には心を動かされます。
帰還の旅には、真吾自身の感情と、恋の行方も重なっています。
小説を担当した編集者の紹介にも、ギャグ、恋愛、アクションを組み合わせた西森作品らしさが挙げられています。
文明崩壊という設定から入っても、人物同士の関係を楽しめる青春小説なのです。
一つの小説から、別の漫画とコミカライズが生まれた
この小説の世界は、その後の漫画制作にもつながりました。
2014年の『何もないけど空は青い』は、西森さんが原作、飯沼ゆうきさんが作画を担当した作品です。
小説と同じ世界で、異なる主人公の話を作る依頼から生まれました。

さらに2018年には、小説そのものを漫画にした『満天の星と青い空』が登場しています。
こちらも作画は飯沼さんで、真吾たちの物語を描く漫画版です。
『何もないけど空は青い』と、小説のコミカライズは、それぞれ別の作品として読めます。

西森さんの学園コメディから、ほかの作品へ進みたい場合は、漫画・小説・原作作品をまとめた作品歴も参考になります。
まとめ
『満天の星と青い空』では、文明が崩れる大きな出来事が、高校生たちの帰り道と恋の物語になります。
小説の担当編集者が感じた西森らしさも、危機の中で動く人物の個性や、笑いと恋愛の組み合わせにありました。
文明を失った世界を想像する楽しみと、真吾や鈴音の関係を読む楽しみが重なる一冊です。


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