『銃夢』の作者・木城ゆきとさんは、自分の強みを「構成力」だと語っています。
木城さんは、コマや場面のつながりが生む流れを重視し、読み手を物語へ引き込む方法を研究してきました。
その感覚を学ぶ手本には、漫画だけでなく、マイケル・ジャクソンの『スリラー』や映画『ターミネーター2』もありました。
漫画の構成は、一つのコマから始まる
木城さんは2010年のインタビューで、自分の構成力を、努力や苦労によって身に付けた力だと説明しています。
作品を完成させるまでに考えることは多く、一コマごとに迷いながら描いてきたといいます。
完成原稿を描き重ねた修業の中で、木城さんは、何をどう描けば面白くなるのかを考え続けていました。

2019年の本人インタビューでは、漫画の最小単位としてコマを挙げています。
一コマ漫画から四コマ漫画へ、さらに何ページにもわたってコマが連なるストーリー漫画へ。
木城さんは、コマが連なって長い物語になることから、漫画の構成を説明しています。
『スリラー』で分かった、起承転結の「流れ」
駆け出しの頃の木城さんには、起承転結という言葉を知っていても、実際にどう使うのかが分からない時期がありました。
そこで参考にしたのがミュージックビデオで、とくにマイケル・ジャクソンの『スリラー』です。
木城さんは、この作品を見事な短編映画と評価し、物語の流れをつかむ手がかりになったと振り返っています。
木城さんは、起承転結を、必ず四つの部分へ分ける決まりとは捉えていません。
「承」がいくつも続いてから転結へ進んでもよく、「転」で終えてもよいと説明しています。
木城さんが悩みながら身に付けようとしたのは、四分割の形を覚えることよりも、物語の流れを実感することでした。

『ターミネーター2』を繰り返し見て、導入を研究
木城さんは、ジェームズ・キャメロン監督の『ターミネーター2』も繰り返し見ました。
最初の場面から観客を引き込む仕組みを知りたかったからです。
2019年の木城さんは、『アリータ:バトル・エンジェル』を見て、キャメロンの構成が基本に忠実であることを改めて感じたと語っています。
この映画では、キャメロンの脚本をロバート・ロドリゲス監督が改稿しています。
木城さんが注目したのは、いきなり戦いを見せるのではなく、台詞のない場面から順に人物や世界を紹介していく導入でした。
一つひとつの場面が感情に働きかけ、人物の立ち位置が分かる頃には、その世界へ入り込んでいる。
木城さんは、その丁寧な導入を評価しています。
『アリータ』で感心したのは、原作の場面のつなぎ方
木城さんは、2017年の撮影現場を訪ねた本人の報告でも、日本語訳で読んだ脚本について、多様な感情が描かれ、劇的に展開する面白さを語っています。

完成した映画について木城さんが感心したのも、場面のつながりとリズムでした。
原作にあった場面を見つける楽しさがありながら、原作を知らない観客にも違和感なく見られる。
木城さんは、原作の場面が監督の世界観に自然に組み込まれている点を評価しました。
まとめ
木城さんの構成の研究には、漫画以外の作品を見て、観客が引き込まれる理由を探る時間も含まれていました。
『銃夢』の作者が『スリラー』や映画を手本に学んだのは、個々の場面を、一続きの面白さへつなぐ方法だったのです。

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