森山大輔の『クロノクルセイド』最終ページ――台詞のない抱擁が残すもの

クロノと抱き合い、笑顔を見せるロゼット。台詞のないクロノクルセイド最終ページの原作写真。 森山大輔
『クロノクルセイド』旧版第8巻/森山大輔、角川書店。原作ページ写真:ウラオモテ。

森山大輔さんの『クロノクルセイド』は、最後のページを、ロゼットとクロノが抱き合う大きな絵で締めくくります。
二人の会話も、結末を解説する言葉もありません。
ロゼットの笑顔と、互いに回した腕が、二人が再び会えたことを伝えています。

『クロノクルセイド』は、悪魔祓いをする少女ロゼットと、悪魔のクロノの物語です。
大きな戦いを描いてきた漫画が、最後には二人の姿を見せる。
その結び方を、人物の表情と体の描き方から見ていきましょう。

大きな一枚で、二人の抱擁を見せる

ロゼットは、クロノの胸の近くに顔を寄せています。
ロゼットの顔は読者に見え、口元には笑顔があります。
クロノの顔はロゼットの方へ向いているため、クロノの表情よりも、抱き合う二人の関係が目に入ります。

クロノと抱き合い、笑顔を見せるロゼット。台詞のないクロノクルセイド最終ページの原作写真。
『クロノクルセイド』旧版第8巻/森山大輔、角川書店。原作ページ写真:ウラオモテ。 出典

命の時間を描いた物語が、笑顔で閉じる

ロゼットはクロノの力を使う代わりに、自分の寿命を消耗します。
二人が一緒に戦うことは、ロゼットに残された時間とも結び付いています。
最終第8巻では、弟ヨシュアの救出と、尽きようとするロゼットの命の時間が重なります。

ロゼットを中央にクロノら登場人物を配したクロノクルセイド新装版第8巻の表紙。YOUNG KING COMICSとVIIIの表記。
『クロノクルセイド』新装版第8巻/森山大輔、少年画報社。 出典

ロゼットの命が終わる悲しさと、クロノに会えた喜びが、この結びには重なります。
寿命を説明する言葉を足さず、笑って抱き付く姿を最後に置いています。

漫画とアニメの結末や、戦いの後のロゼットの時間は、原作とアニメを比較した記事でも整理しています。

まとめ

結末を知ることと、最後にどんな顔を見て本を閉じるかは、同じではありません。
『クロノクルセイド』は、命の終わりを描きながら、読者の目に二人が寄り添う姿を残します。
抱擁の一枚が、再会の喜びを持って物語を閉じさせてくれるのです。

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