冨樫義博が解説を書いた『他人事』とは?平山夢明の短編集を紹介

冨樫義博が解説を担当した平山夢明の他人事の表紙 冨樫義博
平山夢明『他人事』集英社文庫版。解説は冨樫義博。平山夢明/集英社 出典:集英社。

冨樫義博さんが解説を担当した小説の一つに、平山夢明さんの『他人事(ひとごと)』があります。
冨樫さんの解説が収められているのは、2010年に刊行された集英社文庫版です。
人間の悪意や無関心を描く14編を収めたホラー短編集で、『呪術廻戦』の芥見下々さんがホラー小説と出会うきっかけにもなりました。

冨樫義博の解説を読むなら、集英社文庫版

集英社の書籍案内には、平山夢明さんの著作として「解説/冨樫義博」と明記されています。
小説を書いたのは平山さんで、冨樫さんが解説を寄せています。

文庫版は2010年8月20日発売、336ページ。
ISBNは978-4-08-746604-1です。
『他人事』には2007年刊の単行本もあるため、冨樫さんの解説が目当てなら、この文庫版の情報を確認して探すと確実です。

何が怖いのか――人の不幸が「他人事」になること

表題作で描かれるのは、交通事故に遭った家族を襲う、周囲の無関心です。
ほかにも、ひとりで暮らす老女の身に起きる悲劇など、身近な人間関係から恐怖が生まれる短編が並びます。
暴力や理不尽な出来事を扱う、刺激の強い本です。

平山さんは『青春と読書』に寄せた言葉で、恐怖について考えるうちに、最も恐ろしい出来事は新聞記事の中にあると気づいた、と説明しています。
そこで恐怖の源と捉えたのが、この世界にある空虚さや、人への無関心でした。

誰かにとっては人生を壊されるような出来事でも、周りの人は深刻に受け止めない。
他人の苦しみが大したことではないかのように扱われる、その冷たさにも怖さがあります。

芥見下々が手に取ったきっかけにも、冨樫の名前があった

ジャンプホラー小説大賞のインタビューで、芥見さんはホラーとの出会いを尋ねられ、友人から『他人事』を借りた話をしています。
友人は刺激のある描写が多いことに加え、冨樫さんが解説を書いていることも伝えて、この本を貸したそうです。

芥見さんは当時、読書量の少なさを気にしていたとも話しています。
冨樫さんの名前も添えられた友人の薦めが、新しいジャンルへ進む入口になったのです。

まとめ

『他人事』は、強烈な出来事を楽しむだけでなく、他人の不幸に向けられる冷たさにも目を向けると、怖さの意味が変わってくる本です。
冨樫さんの解説を入口に読むなら、何が起きたかに加え、それを周囲がどう受け止めるかにも注目したいところです。
漫画家の名前から選んだ一冊が、人間の怖さを描く小説への入口にもなります。

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