綾峰欄人さんは、ネームを「マンガの設計図」と呼んでいます。
配置や描き方が曖昧なら、線画や着彩を担当する人が場面を読み違え、読者にも伝わりにくくなるからです。
綾峰さんがネームとキャラクターデザインを担当する『100の魔石の大賢者』では、原作者、編集者、線画や着彩の担当者が作品を一緒に作っています。
原作から仕上げまでをつなぐネームで、綾峰さんは何を伝えているのでしょうか。
原作のイメージを、次の担当者へ渡す
『100の魔石の大賢者』の原案・脚本は長月観さんです。
綾峰さんは、原作者の設定をもとに人物の姿や場面の見せ方を考え、ネームを描きます。
2026年9月の本人インタビューでは、編集者の中畑さんを通じて、長月さんと案を交換していると説明しました。
中畑さんが二人の案を仲立ちし、人物を動かしやすくする提案を交換する形です。

公開されたネームには、人物の全身や向き、魔法の位置、効果線まで描かれています。
綾峰さんが避けたいのは、原作者が完成した漫画を見て、思い描いていた内容と違うと感じることです。
そのため、次の担当者へ渡すネームの時点で、場面が分かるように描いておく必要があると説明しています。
『GetBackers』で漫画を担当した綾峰さんは、この作品ではネームとキャラクターデザインを担っています。
青樹さんと綾峰さんの分担は、『GetBackers』の原作と漫画の仕事で紹介しています。
コマを長くして、時間を感じさせる
縦読みの漫画では、読者がスマートフォンをスクロールして場面を追います。
綾峰さんは、スマートフォンの一画面に収まらない長いコマを使い、時間の経過や一呼吸の間を感じさせる工夫を説明しています。

このネームでは、魔法が飛び交う場面から、人物の顔、攻撃の先へと縦に続いています。
綾峰さんは、画面を長く取ることで、読む速さを調整できないか試しているそうです。
何が起こるかに加えて、その場面をどれくらいの長さで見せるかまで、ネームの段階で考えています。
台詞の間に、絵を見せる
綾峰さんは、台詞の合間に絵を挟み、最後に伝えたい言葉を置く方法も挙げています。
スマートフォンの画面は横幅が限られ、台詞で場所を取ると、人物の表情や動きが見えにくくなるためです。

ここでは、最初の台詞の下に人物の姿があり、途中の台詞から、さらに動きを描いた大きな絵へ続いています。
最後の言葉は、その絵を追った先に置かれています。
そうした順序が、線画や着彩に入る前のネームに示されています。

綾峰さんはタテラボの本人取材で、斜めの構図で空間を広く見せる工夫も挙げています。
コマの長さ、台詞の位置、画面の角度は、どれも完成時の読まれ方に関わります。
ネームは、その見せ方を後の担当者に伝えるための絵でもあるのです。
まとめ
綾峰さんの設計図には、読者へどう見せるかという工夫と、その工夫を別の担当者へ伝える仕事が重なっています。
漫画が完成する前に、作る人たちが同じ場面を思い浮かべられるようにする。
ネームを大事にする理由は、綾峰さんの絵をその先の仕事へつなぎ、チームで一つの漫画にしていくためなのです。

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