安西信行さんの初連載は、SF学園コメディーの『R・PRINCESS』です。
その後、約7年にわたる『烈火の炎』を描き、完結から1年後には『MÄR』を始めました。
作品の順番と本人の言葉をたどると、初連載にたどり着くまでの苦労から、長編を描き切って次へ向かう歩みが見えてきます。
『烈火の炎』の前は、全3巻の『R・PRINCESS』
『R・PRINCESS』は、サイボーグの少女・小姫と、彼女に振り回される高校生・甘悟たちを描く漫画です。
背中にロケットを背負った小姫が、家でも学校でも騒ぎを起こします。
1994年に始まった初連載で、単行本は全3巻です。

安西さんは、初連載を振り返った文章で、藤田和日郎さんのアシスタントを辞めて、連載の企画を作り続けた頃のことを語っています。
描いたネームはなかなか通らず、貯金も尽きていきました。
故郷へ帰ることを考える状況で、最後のつもりで描いた第1話が『R・PRINCESS』だったのです。
連載が決まっても、苦労は続きました。
一話を描き終えるたびに、また新しい話を考えなければならない。
安西さんは、読切型の連載でネタを出し続ける難しさを痛感したと振り返っています。
『烈火の炎』は、20代の大部分を注いだ7年間
『烈火の炎』は、1995年から2002年まで『週刊少年サンデー』で連載されました。
忍者に憧れる高校生・花菱烈火の物語は、炎を操る力と、400年前から続く因縁をめぐる長編になっていきます。
単行本は全33巻です。

安西さんは、2002年の完結コメントで、『R・PRINCESS』を22歳、『烈火の炎』を23歳から29歳まで描いたと振り返りました。
七年の間に、アニメやゲームにもなり、多くの手紙が届きました。
安西さんは、届いた手紙を全部読んだとも書いています。
安西さんは、長く描いてきた人物たちを今後はほとんど描かなくなることに、七年の重みを感じたとも書いています。
安西さん自身は、作品について「描ききった!」と語っています。
当時は外伝や続編を作るつもりはなく、心と体を休めながら、次回作を考える意向を示しました。
安西さんは長く続いた物語を終え、次の作品へ向かいます。
その次の連載が『MÄR』です。
翌年の『MÄR』で、今度はおとぎの世界へ
2003年に始まった『MÄR』は、中学生・虎水ギンタが、夢に見ていたおとぎの世界へ旅立つ冒険漫画です。
喋る木や妖精がいる世界への憧れが、教室に現れた扉によって現実になります。
『烈火の炎』とは別の主人公、別の世界で、新しい旅が始まりました。

新連載のコメントで、安西さんは、『烈火』が終わってからも毎週手紙をもらっていると書いています。
その読者に次の作品も楽しんでほしいと願い、特に少年少女へ向けて、少年誌らしい漫画を描こうとしていました。
安西さんは、『烈火』の後半をスラッシュメタル、『MÄR』をシンフォニックメタルにたとえています。
音楽のたとえを添えながら、前作と次作の違いを読者へ伝えています。
同じ作者の漫画でも、前作の続きとは違う楽しさを届けようとしていました。
『MÄR』は2006年に完結し、単行本は全15巻になりました。
『MIXIM☆11』や『麗の世界で有栖川』へ続く作品歴
『MÄR』の後には、星野倖一郎さんとの『MÄR Ω』、安西さんと野坂恒さんの『MIXIM☆11』などの仕事があります。
安西さんは自身の日常や猫の話を描くエッセイ『鋼鉄日記』も発表しました。

2018年には、『少年サンデーS』で『麗の世界で有栖川』を開始しました。
女であることを隠しながら、昔話のような異世界で生きる有栖川を描く作品です。
2026年6月には第11巻が発売されています。

出版社の作品一覧などで確認できる、主な連載作品と巻数です。
まとめ
『烈火の炎』の次を探す読者にとって、『MÄR』は安西さんの新しい冒険を読める作品です。
完結後も手紙を送り続けた読者へ、安西さん自身が楽しんでほしいと語っていました。
前作を描き切った作者の新作を、その呼びかけとともに読むことができます。

コメント