『烈火の炎』裏武闘殺陣の本当の目的――優勝しても終わらない戦い

裏武闘殺陣の決勝で、烈火に語りかける紅麗 烈火の炎
『烈火の炎』安西信行/小学館。

火影は裏武闘殺陣で優勝し、烈火は紅麗との死闘に勝つ。
ところが、大会の決着の後、森光蘭は紅麗を殺そうとする。
最強の相手を倒したことが、森との決着にはならなかった。
火影が目指す勝利と、主催者の森が達成したい計画は、同じものではなかったのだ。

決勝戦で烈火に語りかける紅麗
安西信行『烈火の炎』小学館

火影は柳を守るため、大会の勝敗から逃れられなかった

大会では、負けたチームが賭けた景品を差し出す。
火影の場合、その景品に柳が選ばれている。
烈火たちには、負ければ柳を奪われるという条件があった。
勝ち進むことは、強さを証明するだけでなく、柳を守るためにも必要だった。

紅麗は、森が柳の治癒の力を欲していることを知り、その命令で柳を狙ってきた。
しかし、森は大会の試合だけに柳の確保を任せてはいない。
準決勝で土門と戦っていた魔元紗は、次元界玉を使って身代わりと入れ替わり、柳をさらおうとする。
烈火が魔元紗を撃退し、柳を守った。

試合で負けなければよい、という条件の外でも、柳は狙われている。
森にとって柳は、大会の結果を待って諦められる景品ではなく、不老不死を得るために欲しい相手だった。
この時点で、火影は試合の規則に従うだけでは柳を守れなかったのだ。

森が待っていたのは、紅麗が弱る機会だった

森は、月乃を人質に取って紅麗を従わせていた。
一方で、紅麗の強すぎる力を恐れ、自分に逆らわない炎術士を作ろうとしていた。
その成功例が煉華だった。

森を父と呼ぶ煉華
安西信行『烈火の炎』小学館

烈火との死闘を終えた紅麗は、満身創痍になる。
森は、その紅麗を裏麗と煉華に襲わせ、大会の本当の目的が紅麗暗殺だったと明かす。
紅麗に勝つため、烈火が全力を尽くした戦いを、森は紅麗を始末する機会として利用していた。

森が排除したいのは、敗北した選手ではなく、自分を脅かしかねない紅麗という人間だ。
森にとって、大会の決着は計画の終わりではなく、紅麗を襲うための時機になった。

幼い紅麗に話しかける森光蘭
安西信行『烈火の炎』小学館

音遠の救出で紅麗は生き延び、やがて森と戦う側へ回る。
烈火にとって強敵だった紅麗も、森に利用され、命を狙われる人物だった。
大会後に明かされる暗殺の計画によって、烈火と紅麗の対決そのものを、森が利用していたと分かる。

火影の優勝は、柳を賭けた大会に勝ったという成果を持つ。
だが、優勝によって森が柳を欲する理由や、紅麗を恐れる事情まで消えるわけではない。
大会の勝利と、森の企みを止めることは、別に果たさなければならなかった。
裏武闘殺陣で兄弟の対決が終わっても、その戦いを利用した森は残る。
烈火たちの勝利の後に戦いが続くのは、決着をつける相手が、大会で戦った紅麗だけではなかったからだ。

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