『天』クリア麻雀はなぜ引き分けになったのか――勝ちを決める手が、味方を飛ばす

裏ドラが二枚乗り、天の手が三倍満になった場面 天 天和通りの快男児
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第12巻・第102話。

天がツモった三色とチャンタで、東側はクリア麻雀の五役をすべて達成した。
ところが、東西戦はここで終わらない。
天の手が高くなりすぎると、同じ東側のひろゆきが支払いに耐えられず、飛んでしまうからだ。
最後に残った問題は、天が和了れるかどうかではない。
天の和了で、東側の勝ちだけが成立するかである。

天のツモは、ひろゆきからも点棒を奪う

クリア麻雀には、指定された五役を先にそろえる勝利条件と、味方が飛べば負けになる条件がある。
天は、残っていた三色とチャンタを一度の和了でそろえた。
ただし、その手には平和、門前ツモ、一盃口、ドラ二枚まで付いている。
役を達成するには頼もしい手が、点数の面では危険な手になった。

天の和了手と、裏ドラが一枚乗れば三倍満になるという計算
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第12巻・第102話。

しかも天は親で、ツモ和了の支払いは原田と僧我だけに請求するものではない。
ひろゆきも、ほかの二人と同じだけ支払う。
親の三倍満なら、支払いは一人12,000点。
このとき、ひろゆきの持ち点は11,300点しかない。
天の点数が三倍満に届けば、味方を飛ばしてしまう。

親の三倍満は12,000オールで、11,300点のひろゆきが飛ぶと説明する原田たち
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第12巻・第102話。

天の三色とチャンタは成立している。
その支払いでひろゆきが飛べば、東側は五役を達成するのと同時に、敗北条件も満たすことになる。
裏ドラを調べるまで、勝負の結果は決まらない。

五役の達成と箱割れが同時に起きる可能性を説明する僧我たち
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第12巻・第102話。

裏ドラが乗らないことを、味方が願う

裏ドラが一枚でも乗れば、ひろゆきは三倍満の12,000点を支払わなければならない。
だから、ひろゆきは裏ドラに「乗らないで」と願う。
味方の和了を高くする裏ドラを望めないのは、東側の勝ちを守るには、自分も点棒を残していなければならないからだ。

原田は裏ドラを自分で開けると言い出し、手にはすり替え用の八萬まで握り込んでいた。
天は不正を許さず、誰の目にも明らかなように、指一本で裏ドラ表示牌を開けさせる。
原田が指一本で表示牌を開けると、裏ドラは二枚乗っていた。
天の手は三倍満となり、ひろゆきが飛ぶ。
五役の達成と飛びが同じ和了で起きたため、クリア麻雀では勝負がつかなかった。

裏ドラが二枚乗り、天の手が三倍満になった場面
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第12巻・第102話。

天の和了が強すぎたことが、東側の勝利を止めた。
ツモ和了で味方からも点棒を受け取る仕組みと、味方の飛びを敗北とする条件が、最後の手で重なったのである。
ひろゆきにとって、この局の望ましい結末は、天ができるだけ多く稼ぐことではなかった。
天が五役をそろえ、自分にも点棒が残ることだった。

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