『天』九筒の差し込みはなぜ槍槓なのか――役のない待ちに、役を作る

槍槓とドラ三枚で和了るひろゆきと差し込みを示す天 天 天和通りの快男児
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第11巻。

天は、ひろゆきを和了らせたい場面で、原田の九筒をポンする。
しかも天は、九筒をすでに三枚持っている。
九筒をひろゆきに渡したいなら、手に残した一枚を捨てればよさそうだ。
天が選んだのは、その一枚をポンした組に加えるカンだった。
この違いが、ひろゆきの和了を可能にする。

九筒で手は完成しても、役がなければロンできない

ひろゆきは、残り千点で六筒・九筒待ちのテンパイにたどり着く。
六筒ならタンヤオになるが、九筒ではタンヤオにならない。
タンヤオは、一と九の牌や字牌を使わずに作る役だからだ。
ひろゆきはドラを三枚持っていても、それだけでは役のない九筒をロンできない。

原田が九筒を切っても、ひろゆきはその牌をロンしない。
天が九筒を普通に捨てるだけでも、役がないという問題は変わらない。
天に必要なのは、和了牌を渡す方法と、九筒でも成立する役を用意する方法だった。

九筒を切る原田
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第11巻。

天は、残した九筒を加槓の牌に変える

天は原田の九筒をポンする。
手持ちの三枚のうち二枚を使ってポンしたので、天の手には九筒が一枚残る。
最初からカンをするのではなく、ポンを挟むことが仕掛けの要だ。

原田の九筒にポンを宣言する天
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第11巻。

天は、残した九筒をポンした組へ加え、加槓を宣言する。
この加槓の牌が和了牌なら、ひろゆきは槍槓でロンできる。
槍槓そのものが一翻の役になるため、九筒でタンヤオが消えても和了れるのだ。

ポンした九筒へ残りの一枚を加える天
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第11巻。

ひろゆきは、天の九筒を槍槓で和了る。
役は槍槓、そこにドラ三枚が加わる。
天が河に捨てた牌へのロンではなく、天がカンに使おうとした牌へのロンである。
槍槓で和了られると、天の加槓は成立せず、新しい槓ドラもめくられない。

槍槓とドラ三枚で和了るひろゆきと差し込みを示す天
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第11巻。

天の協力は、ひろゆきの待ち牌を持っていることだけでは終わらない。
ひろゆきが九筒では和了れない理由を踏まえ、河へ捨てる代わりに、加槓の牌として示す。
ポンを挟んだことで、天はひろゆきに和了牌と和了の役をまとめて届けた。
天の槍槓による差し込みは、役のない方の待ちを、実際に和了れる道へ変えた連携なのである。

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