宇宙有数の戦闘種族と恐れられるディスクン星人が、地球では人を襲わずに暮らしている。
王子の仕掛けが終わると、彼らは筒井雪隆にサインを頼むほど親しげだ。
戦闘種族が地球で大人しくしている理由は、野球が好きだからだという。
ただ、その答えは「野球で平和な種族に変わった」という話ではない。
彼らが雪隆を応援する姿と、別の宇宙人を「潰す」と申し出る姿は、続けて描かれる。
地球を壊せば、野球も見られなくなる
ディスクン星人は、怒れば星を壊すまで暴れることもあると自分たちで語る。
しかし、地球ではそうしない。
地球を壊せば、好きな野球を見られなくなるからだ。
しかも彼らが見ているのは、今活躍している選手だけではない。
目の前の地球人が、将来の大選手になるかもしれないと考えている。
そのため、地球人を殺すこともできないという。
ここで野球は、単なる暇つぶし以上のものになっている。
まだ選手になっていない人間にも、これから野球を面白くしてくれるかもしれない価値がある。
そう考えるようになったことが、彼らの地球での行動を変えた。

雪隆への期待は、地元の野球ファンの期待でもある
ディスクン星人が雪隆にサインを求めるのも、その考えからだ。
彼らは雪隆が野球部員だと知っており、監督からチームの情報も聞いている。
甲子園へ行き、山形県勢として初めてベスト8へ進んでほしいとまで頼む。
その熱心さには、彼らなりの事情もある。
野球好きのエラル星人が先に激戦区やプロ球団の本拠地を縄張りにしたため、ディスクン星人は自分たちの地域から大選手が出るのを待っていた。
雪隆は、ただ「殺してはいけない地球人」なのではない。
自分たちが応援する土地から現れるかもしれない選手なのだ。

親切さと物騒さは、同時に残っている
彼らは、地球へ来て初めて戦い以外の楽しみを知ったと話す。
彼らは地球で野球を知ったことに感謝し、雪隆にも声援を送る。
一方、別の宇宙人と問題が起きたら呼んでほしい、相手をすぐ潰すと雪隆に告げる。
地球人を傷つけないからといって、力ずくの解決をやめたわけではない。
雪隆の味方として、彼を困らせる宇宙人にはその力を向けるつもりでいる。
雪隆を助ける申し出の形をしているのに、言葉はぞっとするほど物騒だ。

野球は、ディスクン星人から戦う力も荒っぽさも奪っていない。
それでも地球で野球を見続けたいから、地球人を傷つけず、雪隆の未来を楽しみにする。
雪隆に向けた笑顔と、ほかの宇宙人を潰すという言葉が同じ口から出るところに、彼らの変化と変わらなさが同時に見える。

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