ワン・ポーカーで和也を追い詰めた「幻想のK」は、カイジが見せたKではない。
カイジが一枚のQを出したために、和也が残りの札へ思い描いたKだ。
しかも、その読みを生んだのは、和也自身が以前に仕掛けた罠だった。
和也は自分が仕掛けた手を知っているからこそ、相手の罠を疑う。
Qを出したことで、見えないKが生まれる
18回戦、カイジは二枚とも強い側の札を持ち、Qを出して和也の3に勝つ。
和也からは、カイジが出さなかったもう一枚は見えない。
Qより強いKかAを残しているかもしれないし、Qより弱い札しかないかもしれない。

次の19回戦で和也はQを引く。
普通に考えれば、勝負したくなる札だ。
だが和也は、前の回にカイジがなぜQを使ったのかを考え始める。
もしQが弱いほうの札だったなら、残りはKかAだ。
和也のQは、その見えない札に負ける。

和也を迷わせたのは、自分も使ったことのある手だった
和也は以前の勝負で、弱い札同士の二枚からあえて強いほうを出し、もっと強い札を残しているように見せた。
今度はカイジが、Qを使って同じことをしているのではないか。
和也がその手を知っているからこそ、カイジのQは単なる勝ち札に見えなくなる。

もちろん、カイジが本当にKを持つ証拠はない。
Qを見せてKを想像させる罠かもしれない、という疑いも生まれる。
和也はどちらかを確かめられないまま、19回戦ではQを伏せて5を出す。
カイジが出したのは9だった。
和也がQを出していれば勝てた一戦である。


失敗を知った後も、和也は強いQで押し切れない
19回戦で負けた和也には、「Kを恐れてQを使わなかった」という失敗が残る。
それなら次は強い札を信じればよい、と簡単には進まない。
20回戦でも和也はQを出すが、カイジがさらに賭け金を上げると、和也は勝負を降りる。
このときカイジが出していた札は8。
Qのほうが強かった。

和也はQの強さを知らなかったのではない。
前の回にQを使わず負けたことも知っている。
それでも、カイジが大きく賭けてくるのを前にすると、見えないKを切り捨てられない。
カイジが実際に残していたのは9であり、18回戦から続いたKの脅威は、そこまでの勝負では幻想だった。

まとめ
和也を縛ったのは、存在を確認したKではない。
自分も使ったことのある罠をカイジに重ね、Qを伏せて負けた後は、今度こそ強い札で押そうとしてもカイジの大きな賭けがその決断を止めた。
札の強さだけを見れば和也に勝てる場面はあったが、カイジは和也が信じる残り札の姿を変えて勝った。
だからこそ、次の勝負でカイジが本物のKを引く場面も効いてくる。
先ほどまで和也の頭の中にしかなかった札が、今度は実際の手札として現れるのである。



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