『ヴァンデミエールの翼』は、魂を宿した人形たちが、自由と自立を求める鬼頭莫宏さんの初期連作です。
同じヴァンデミエールという名前を持つ、複数の人形が登場します。
それぞれの短い物語がつながり、出会った人々との関係が後の話にも残っていく作品です。
通常版は全2巻で、2018年には一冊にまとまった新装版も出ています。
四季賞の受賞作が、連載の第1話になった
講談社の著者紹介によると、鬼頭さんは1995年、アフタヌーン秋の四季賞に準入選しました。
その作品を第1話として連載されたのが、『ヴァンデミエールの翼』です。
単行本は1997年に全2巻が刊行されました。
『なるたる』『ぼくらの』に先立つ仕事です。
鬼頭さんのデビューは、大学時代の短編『残暑』です。
受賞後の会社勤めや上京を含む連載までの経歴をたどると、デビュー作と初期連載の位置も分かります。
同じ名前を持つ、異なる人形たち
この作品の人形たちは、少女の姿をして動き、自分の意思を持っています。
翼や髪、衣装の姿もそれぞれ異なります。
出版社の紹介が掲げるのも、造られた身体に生を受けた人形が、創造主から離れて自由を求める物語です。
人形を造った者や、サーカスの見世物として扱う者には、その人形を自分のもとに置く力があります。
そこから離れたいという人形の思いと、人間との出会いが、それぞれの話を動かしていきます。
翼を持つ姿の美しさと、人の都合に縛られている暮らしが並ぶところから、自由を求める姿を読み始められます。
短い話の間を、人や人形がつないでいく
第1話『ヴァンデミエールの右手』では、サーカスで見世物にされる人形が、少年レイと出会います。
第2話では別の人形が登場し、第3話『テルミドールの時間』で、第1話の人形が再び姿を見せます。
異なる人形の話を挟みながら、先に登場した人形の物語が続いていく構成です。
同じ名前の人形たちを区別し、その人形が誰と出会ったのかを覚えておくと、話のつながりをたどれます。
人形ごとの出会いから、自由を求める異なる姿を読んでいくことができます。
通常版は全2巻、新装版は一冊

講談社の既刊一覧では、この2冊に加え、2018年の『新装版 ヴァンデミエールの翼』が案内されています。
新装版はA5判・352ページで、通常版はB6判です。
通常版には電子版の案内もあります。
版を探すときは、全2巻の通常版か、一冊の新装版かを区別すると選びやすくなります。
まとめ
サーカスから離れたい人形の話は、その一編で終わらず、後の出会いへつながっていきます。
誰に出会い、どんな暮らしから離れようとするのか。
初期の鬼頭作品を読む入口として、人形たちの変化を、話をまたいでたどれる一冊です。






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