楳図かずおのインタビュー案内|回想録・講演・図録の選び方

『わたしは楳図かずお マンガから芸術へ』の書影。赤い表紙に少女と少年が向き合う絵。 楳図かずお
『わたしは楳図かずお―マンガから芸術へ』/楳図かずお著・石田汗太聞き手、中央公論新社。

楳図かずおさんの制作について知りたいなら、一冊で歩みをたどれる回想録『わたしは楳図かずお』が入口になります。
ネットでは、代表作について語ったロングインタビューや、漫画の図版を交えた講演記録も読めます。
人生を知りたいのか、好きな作品の発想を知りたいのか、絵の描き方に近づきたいのか。
気になることに合わせて、読むものを選んでみましょう。

一冊で歩みをたどるなら『わたしは楳図かずお』

『わたしは楳図かずお マンガから芸術へ』の書影。赤い表紙に少女と少年が向き合う絵。
『わたしは楳図かずお マンガから芸術へ』/楳図かずお著・石田汗太聞き手、中央公論新社。 出典

『わたしは楳図かずお マンガから芸術へ』は、楳図さんの話を石田汗太さんが聞き、まとめた回想録です。
2025年に刊行されました。
出版社の紹介では、読売新聞の連載「時代の証言者」を再構成し、大幅に加筆した本と説明されています。
デビュー前に描いた作品のカラー図版も収録しています。

子どもの頃に何を読んだのか、どうして恐怖漫画を描くようになったのか、代表作をどんな思いで作ったのか。
作品名を一つずつ検索する前に、その作品が生まれた頃の楳図さんを知るための一冊です。
本を探す時には、書名に加え「石田汗太・聞き手」という表記も目印になります。

代表作の発想は、2009年のロングインタビューで

赤白の縞シャツを着て両手を伸ばす楳図かずお
楳図かずおさん/横関一浩撮影。2009年の取材を公開した記事に掲載された写真。 出典

まずネットで読んでみたい人には、伊藤和弘さんが聞き手を務めた2009年のインタビューがあります。
取材当時には発表されず、2024年の追悼時に初めて公開されたものです。

話題は、少女誌から少年誌への広がり、『ウルトラマン』の仕事、『おろち』の心理的な怖さ、ギャグ漫画、『漂流教室』へと進みます。
楳図さんが何を描いたかに加え、次の仕事で何を試そうとしたかも分かる取材です。

たとえば『アゲイン』では、若返った老人を楽しく描くほど、元の年齢に戻った時の悲しさが増すと説明しています。
『まことちゃん』では、主人公の顔をいつも驚いているように決めたことで、その顔に合う出来事を考えるようになったと語りました。
作品を読んで感じた笑いや表情が、作者のどんな工夫から来たのかを知りたい時に向いています。

絵を見ながら制作方法を知るなら、2002年の講演記録

基板やソケットの間を何本もの配線が曲がりながら走る見開き
『わたしは真悟』の機械内部の線/楳図かずお・小学館。2002年の金沢美術工芸大学講演の公開図版。 出典

「ウメズのメ! ウメズのズ!」は、2002年に金沢美術工芸大学で開かれた講演会の記録です。
聞き手の高橋半魚さんが、楳図さんとのやり取りと、会場で映した漫画の図版を公開しています。

長い記録ですが、絵の具体的な話を読みたい時に面白い資料です。
『わたしは真悟』の機械内部の細かな線を見せながら、何を参考にして描き、どこから自分で形を作ったのかを楳図さんが説明しています。
ロボットの成長を描く苦労や、『14歳』を地球の生き物全体の話として考えたことも話題になります。
公開されたページと楳図さんの説明を行き来できるので、細かな線の話もつかみやすくなっています。

作品が発表された順番を先に知りたい場合は、一般財団法人UMEZZの作品紹介も役立ちます。
各作品の初出情報から、どの時期の仕事かを確かめられます。

絵画への展開は、『文學界』の取材と展覧会カタログで

赤白の縞シャツを着た楳図かずおが、片手を耳の横に上げて立つ写真。
『文學界』2022年の取材に掲載された楳図かずおさん/山元茂樹撮影、文藝春秋。 出典

後年の連作絵画『ZOKU-SHINGO』に関心があるなら、三輪健太朗さんが聞き手を務めた『文學界』2022年4月号のインタビューがあります。
2024年に前後編が公開され、後編もネットで読めます。

手塚治虫への憧れから、そのままのコピーにはなりたくなかった少年時代へ。
さらに、漫画のコマのつなぎ方をどう考え、連作絵画ではどう生かしたのかへと、話が続きます。
新作の紹介だけでなく、楳図さんが漫画をどう捉えてきたかも聞ける取材です。

楳図かずお大美術展の公式カタログ表紙。男の顔と緑色のロボットを描いた絵と白い展覧会名。
「楳図かずお大美術展」公式カタログの表紙。LABORATORIESの制作実績掲載写真。 出典

「楳図かずお大美術展」の公式カタログは、展覧会の作品を図版と解説から振り返るための本です。
椹木野衣さんらが執筆し、窪田研二さんがアート作品解説を担当しています。
楳図さん自身の言葉を読む取材記事に、作品の図版や別の人の解説も加えたい時の選択肢になります。

なお、2025年刊行の『ZOKU-SHINGO COMPLETE BOX』に入る『わたしは真悟 扉絵全集』と、展覧会カタログは別の本です。
漫画の扉絵をまとめて見たいなら、『わたしは真悟 扉絵全集』の収録内容から選べます。

まとめ

楳図さんの回想には、人生の出来事と、次にどんな漫画を描こうとしたかが結び付いています。
好きな作品が一つあるなら、まずその作品について語った取材を読み、気になった時期を回想録でたどるのもよいでしょう。
作品の背景を知ることが、まだ読んでいない別の一作へ進むきっかけにもなります。

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