楳図かずおさんは、子どもが登場するほうが、現実から大きく飛躍する物語を描きやすいと話しています。
青年誌で発表した『わたしは真悟』でも、子どもたちが物語の中心にいます。
読んでほしい相手として挙げたのは、かつて子どもだった大人たちでした。
登場人物の年齢と、想定した読者の年齢は、同じではなかったのです。

子どもなら、飛躍した出来事についてきてくれる
『文學界』2022年4月号に掲載された三輪健太朗さんのインタビューで、楳図さんは、子どもが登場する話のほうが自分には描きやすいと説明しています。
楳図さんには、子どもの登場人物は、常識に縛られず、不思議な出来事にも乗ってくれる存在でした。
大人を描くと、好き勝手に話を動かさないでほしい、と登場人物に言われるように感じることがあるそうです。
楳図さんは、自分の話づくりの基本を、おとぎ話や昔話にあると表現しています。
2022年発表の連作絵画『ZOKU-SHINGO』でも、ロボットにおとぎ話があれば面白いと考えたそうです。
かつて子どもだった大人に向けて描く
同じ取材で楳図さんは、子どもが作品の内容を理解するのは難しいかもしれないとも話しています。
むしろ、昔は自分たちにもこういうことがあった、と大人に見てもらうほうが、作品を素直に受け取ってもらえると考えていました。
『まことちゃん』では、一人に子どものいろいろな面を描く
『まことちゃん』について楳図さんが話したのは、子どもが持つさまざまな要素を、一人の人物を通して出していくという考えでした。
一つの分かりやすい性格にまとめるより、子どものいろいろな面を表そうとしたのです。
だからこそ、要素を出し切れば描き続けられなくなる、とも語っています。

まとめ
楳図さんが描く子どもには、話の世界を自由に広げる役割がありました。
その物語を、かつて子どもだった大人に読んでもらう。
本人の言葉からは、登場人物の選び方と、読み手への考えの両方が見えてきます。




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