沙村広明さんが漫画の絵のすごさとして挙げたのは、矢口高雄さんの田舎の背景と、三浦建太郎さんの『ベルセルク』の描き込みでした。
ペンで風景を描き出す技術と、膨大な手間をかけて紙面を描く仕事。
沙村さんは、どちらにも惹かれ、自分も矢口さんのような背景の表現をしたいと話しています。
その話が出たのは、2017年に公開された藤本タツキさんとの対談です。
藤本さんが絵を上達させたいと繰り返し尋ねる中で、沙村さんは、自分が見惚れる漫画の絵を具体的に挙げました。

絵の練習をめぐる、藤本タツキとの対談
対談で藤本さんは、アニメの絵の動かし方に驚き、アニメーターになることも考えたと話しました。
沙村さんのような絵を描くために、練習の方法を尋ねていたのです。
藤本さんの話に、沙村さんは、アニメーターと漫画家で求められるものは違う気がすると返しました。
沙村さんが続けて挙げたのは、漫画の中にある、別の種類のうまさでした。
矢口高雄の背景は、ペンをどう動かすかでできている
沙村さんは、『釣りキチ三平』の矢口高雄さんが描いた短編集を読み、日本の田舎の背景に惹かれたと話しています。
沙村さんは、その綺麗な背景が、写真ではなく、ペンの描き方で表現されていることを話しています。
沙村さんは、そのようなペンの使い方を自分もしたいと語っています。
完成した風景への称賛に、自分の描く仕事で取り入れたいという憧れが重なっていました。

矢口さん自身は、2019年の講談社のインタビューで、風景のもとにあるのは、記憶の中の故郷・秋田の山野だと話しています。
かつて見た風景を漫画の中に描く矢口さんと、矢口さんがペンで風景を表す方法に見惚れた沙村さん。
二人の説明から、漫画の背景を描く仕事を、記憶と、紙面に描き出す技術の両方から見ることができます。
『ベルセルク』には、膨大な手間が作る絵のすごさがある
沙村さんは同じ対談で、三浦建太郎さんの『ベルセルク』も挙げています。
沙村さんが驚いていたのは、膨大な描き込みでした。
完成した画面を見るだけでなく、その絵が、どれほどの手間をかけてできているかにも目を向けていました。

まとめ
藤本さんが絵を動かす力への憧れを語ると、沙村さんは、漫画の中で自分が見惚れる仕事を挙げました。
沙村さんにとって、矢口さんの背景は、自分もやってみたい描き方でもありました。
二人のやり取りは、絵が上手くなりたいという話を、漫画でどんな絵を描きたいかという話へ広げています。


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