沙村広明さんは、最も画力が上がった時期として、美術予備校に通っていた頃を挙げています。
一日や二日で一枚を仕上げる課題を振り返り、周囲の上手い人から学べることも話しています。
沙村さんは、多摩美術大学の絵画科油画専攻を1993年に卒業しています。
その前から続けていた練習と、大学で出会った漫画を、本人の言葉からたどります。

高校の休み時間に、自分の手をノートへ描いていた
沙村さんが高校時代の練習として話しているのが、人間の手です。
2017年の藤本タツキさんとの対談で、安彦良和さんが描く手をきれいだと思い、自分も描こうとした経緯を振り返っています。
沙村さんは、休み時間に自分の手をノートへ何度も描いていました。
好きな漫画家の絵を見て憧れるだけでなく、自分の手を見ながら、実際に描くことを繰り返していたのです。
美術予備校では、一日や二日で一枚を仕上げた
同じ対談の最終ページで、沙村さんは、美術予備校の頃に最も画力が上がったと答えています。
大学の課題では一週間や二週間かける一方、予備校では二日で一枚、ときには一日で一枚を描くという比較でした。
一枚へ時間をかけ続けるよりも、短い期限で仕上げ、次の一枚に取り組む課題が多かったと分かります。
沙村さんは、予備校時代を、時間との戦いだったと振り返っています。
上手い学生が、すぐ近くの手本になる
沙村さんは、課題の数に加えて、周囲にどれほど上手い人がいるかも大切だと話しています。
同じ場所で描く生徒からも学べる、という考えです。
藤本さんが、自分より上手い人を見ると悔しいと応じると、沙村さんは、その人を見て描けばいい、と返します。
悔しさを話す藤本さんに、沙村さんは、上手い人から学んで描く方法を勧めています。
沙村さんはこの対談で、藤本さんと構図を考え、万次とアグニが向き合う共同イラストのラフも描いています。

大学の漫画研究会では、好きな漫画の幅も広がった
大学では、沙村さんは漫画研究会に入りました。
周囲には「ガロ」を読む学生もいて、それまで知らなかった作家の面白さに触れたと話しています。
大学に入った頃には、星野之宣さんの『2001夜物語』も読み、その細かな絵に驚いていました。
漫画研究会に入ったことで、沙村さんが知る作家の幅も広がっていたのです。
沙村さんは、大学在籍中から、デビュー作となる『無限の住人』の第1話を描き、卒業後も制作を続けました。
絵を練習してきた学生が、その絵で漫画を投稿するところまで進んでいったのです。

まとめ
沙村さんは、多く描く課題に加えて、周囲の上手い人を見ることを大切にしていました。
藤本さんにも、その人を見て描けばいい、と返しています。
身近な描き手も手本になるという考えが、予備校を語る言葉と、後輩への助言の両方に表れています。


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