岡本倫はどう漫画家になった?ゲーム会社を辞めて挑んだ「半年」

岡本倫『エルフェンリート』第1巻・電子版の書影 岡本倫
『エルフェンリート』第1巻・電子版書影/岡本倫、集英社。

岡本倫さんは、ゲーム会社で働いたあと、2000年に漫画家としてデビューしました。
会社を辞めるときに決めた期限は、半年。
ただし、最初の漫画を描き始めたのは、それより前のことです。
2020年の本人の回想をたどると、子どもの頃の夢と、会社員としての仕事が、漫画を描く決断につながっていました。

『ドラえもん』で憧れた仕事と、ゲーム制作への就職

小学校に上がった頃の岡本さんが好きだったのは、『ドラえもん』でした。
『コロコロコミック』の藤子不二雄さんへのインタビューで漫画家という仕事を知り、小学3年生には自分もなりたいと思うようになります。

ドラえもん第1巻の書影。藤子・F・不二雄の作品。
『ドラえもん』第1巻/藤子・F・不二雄、小学館。 出典

『みゆき』『タッチ』『ふたり鷹』の絵をまねすることはあっても、漫画そのものは描かないまま、25〜26歳になりました。
手や指をうまく描けず、漫画を描き切れる気がしなかったといいます。

その間に興味を持ったのが、ゲーム作りです。
大学時代には制作会社でアルバイトをし、ものを作りたい気持ちも満たされていきました。
卒業後はゲームメーカーに就職します。

自分の案を形にしたい。漫画を描き始めた理由

就職後、岡本さんは自分の考えた案を実現できないもどかしさも感じます。
もっと面白くできると思っても、プログラマーに無理だと言われれば、自分だけではどうにもできません。

自分の力で一つの商品を完成させたい。
そのとき岡本さんが思い浮かべたのが、漫画と小説でした。
小説も試しましたが、少し書いたところで難しさを感じ、漫画の描き方を身につけるほうを選びます。
子どもの頃からの憧れに、今度は自分の案を自分で形にしたいという仕事上の理由が加わったのです。

最初の読み切りは約1年半。退職後は3か月ずつ

岡本さんは会社に通いながら、約1年半かけて初めての読み切りを完成させました。
『ヤングジャンプ』へ持ち込むと新人賞に入賞したものの、本人は下のほうの賞だったと振り返り、少し落ち込んだと話しています。
その後は約1年、漫画を描かない日々が続きました。

次を描くにも、また1年半はかけられない。
岡本さんは会社を辞め、毎日描いて、次の読み切りを3か月で完成させます。
受けたのは、最初の作品と同じ賞でした。
さらに3か月かけてもう一本を描き、デビューにたどり着きました。

「半年」は、会社を辞めたあとの挑戦につけた期限です。
岡本さんは当時、デビューまでに何本も読み切りを描く人が多いことを知らず、二本やって駄目なら諦めようと考えていました。
余裕を持って成功を見通していたというより、本人の言葉では「ギリギリ首がつながった感じ」だったのです。

初連載のときにも、長く続く確信はなかった

初連載の『エルフェンリート』が始まったのは、2002年。
岡本さんはそのときにも、次のワールドカップの頃には漫画家をやめているだろうと、本気で思っていたと話しています。

岡本倫『エルフェンリート』第1巻・電子版の書影
初連載『エルフェンリート』第1巻/岡本倫、集英社。 出典

まとめ

20周年を迎えた岡本さんが振り返ったのは、半年で駄目ならやめるつもりだった挑戦でした。
初連載を始めても、仕事が長く続くとは思えていなかった。
長く活躍してきたという結果だけでなく、先の見えなかった本人の感覚も知ることができる回想です。

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