『CLAYMORE』の戦士は半人半妖だが、普段の姿は人間の女性に近い。
大剣を握るクレアと、その剣に斬られる妖魔を並べると、両者には顔も腕もあるのに、口や指の形が大きく違う。
八木教広さんの怪物の絵を見るなら、人の身体をどこまで残し、どこを変えているかに目を向けると面白い。
第1巻の妖魔と、カサンドラの覚醒前後を見比べてみよう。
妖魔には人のような腕があり、口と指には牙と爪がある

第1巻の冒頭「銀眼の斬殺者」には、クレアが妖魔を斬る場面がある。
妖魔には人と同じように肩から続く腕があり、首筋や上腕の筋肉も描かれている。
ところが、最初のコマに大きく描かれる口には、上下に鋭い牙が並ぶ。
足の指にも、先の尖った長い爪が伸びている。
クレアも、目を大きく描いたコマでは縦長の瞳孔が見える。
妖魔を斬る戦士の顔にも、人間とは違う部分がある。
鎧と大剣を身につけた女性と、牙をむく筋肉質の妖魔。
人に近い身体を保つ二者の違いを、顔や手足から確かめられるページだ。
カサンドラは、覚醒すると顔の形まで変わる
カサンドラの変化も、顔を並べると分かりやすい。
覚醒前は、額にかかる前髪と大きな目を持つ女性の顔だ。
覚醒体のほうは、耳が長く尖り、頬から口元へ続く輪郭が張り出している。
口の中には不ぞろいの歯が並び、口元や首にも点状の黒い描き込みがある。
覚醒後も目、耳、口が分かる顔だが、それぞれの形は覚醒前と違っている。
全身を大きく見せなくても、顔の違いだけで覚醒後の姿を確かめられる。
妖魔の牙と爪、カサンドラの尖った耳と口元では、異形になる箇所も違う。
ヨーロッパ風の舞台と、日本の妖怪文化
八木さんは、2022年のルッカでの本人インタビューで、『CLAYMORE』を女性の主人公と怪物の組み合わせから考えたと振り返っている。
ギャグを含む前作『エンジェル伝説』とは、まったく違う作品を作りたかったという。
舞台については、連載を始める前に訪れたフランスで見たものが、ヨーロッパ風の中世世界につながったと説明する。
一方、日本の怪物や妖怪の伝統については、自分の中に自然にあるものとして語っている。
ヨーロッパ風の舞台と、日本の妖怪文化。
八木さんが触れてきた異なる文化が、この作品の背景にある。
まとめ
大剣の一撃から少し目を外し、妖魔の口や足へ戻ってみる。
そうすると、人に近い身体のどこが異形なのかを、具体的に確かめられる。
カサンドラも覚醒前後の顔を並べれば、輪郭や歯から顔つきの変化を確かめられる。
作者が語った旅の経験や妖怪文化も知って読むと、戦いの行方に加えて、八木さんがどんな世界と住人を描いたのかにも興味が向く。


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