八木教広の制作工程は?『CLAYMORE』のネーム3〜4日、作画3週間の中身

八木教広 エンジェル伝説第1巻の表紙 八木教広
八木教広/集英社。THE ZERO to ONE本人インタビュー掲載。外側の白い余白のみ除去。

『CLAYMORE』の1話は、どれくらいの時間をかけて作られていたのか。
八木教広さんは、ネームに3〜4日、作画に合計3週間ほどを使っていたと話している。
学園ギャグ『エンジェル伝説』では、ネームにおよそ1週間かかっていたという。
数字と一緒に語られたのは、何度も見比べるネームと、作画を止めないためのアシスタントとの分担だった。
『CLAYMORE』完結後のジャンプSQ.「マンガの極意」で振り返った工程を見ていこう。

ネームの日数は、ギャグとストーリーで違った

八木教広 エンジェル伝説第1巻の表紙
『エンジェル伝説』第1巻/八木教広、集英社。 出典

ネームは、漫画のコマ割りや台詞、人物の動きを決める下書きだ。
八木さんが対談で挙げた期間は、次のようになっている。

対象・工程 本人が語った目安
『エンジェル伝説』のネーム 約1週間
『CLAYMORE』のネーム 3〜4日
作画 合計で約3週間

八木さんによると、ギャグのネームは、途中で行き詰まると全てボツになることもあった。
『CLAYMORE』では残せる部分があり、描き直すときの選択肢が増えたという。
二作品では、ネームを作り直すときのやり方にも違いがあった。

一コマ変えるたびにコピーを取り、見比べる

予定と異なる人物の動きを説明する八木教広の取材漫画
ジャンプSQ.「マンガの極意」人物と展開の作り方を聞く賀来ゆうじの取材漫画/集英社。 出典

八木さんは、最初からコマを割ったネームを描く。
人物や物語も、そのネームの中で形になっていく。
一コマ変更するたびにコピーを取り、変更前と見比べるため、ネームの枚数は膨大になる。

描く順序も、毎回同じではない。
第1ページから進めるときもあれば、最後の引きを先に決めるときもある。
途中に面白い展開が浮かべば、そこを固めてから、前後の流れを練り直す。
数日という期間には、このような比較と組み替えが詰まっていた。

ただ、見直しを続けるうちに、本人にも何が面白いのか分からなくなることがある。
八木さんには、面白さを判断できるうちに仕上げたい、という気持ちがあった。

構図はネームで決め、背景作業を先に進める

賀来ゆうじの取材漫画。伝わりやすい場面と人物の位置を説明する八木教広。
ジャンプSQ.「マンガの極意」八木教広の画面作りを紹介する賀来ゆうじの取材漫画/集英社。 出典

八木さんは、画面の構図までネームで考え、作画ではほとんど変更しないと説明している。
ギャグ漫画出身として、台詞や内容が伝わる、分かりやすい画面を重視していた。
ネームができると、話の筋だけでなく、完成するページの見え方もほぼ決まっている。

作画には、別の難しさもある。
描いたことのないものが出てくると、八木さんは下描きで苦戦することがあった。
そんなときは、8割ほどできた原稿をアシスタントに渡し、背景を進めてもらっていた。
八木さん自身は、詰まった部分をいったん後回しにして、ペン入れの段階でも改善を重ねる。
下描きで迷っている部分があっても、背景作業は並行して進められた。

通常版第1巻の冒頭。妖魔の口、クレアの目、手と足、斬撃の五つのコマ
通常版『CLAYMORE』第1巻、SCENE1「銀眼の斬殺者」冒頭/八木教広、集英社。 出典

連載を続けるうちに、下描きにかかる時間は短くなったという。
一方、ペン入れでは、自分の絵に足りないところが見えるほど、描き込みを増やしたくなった。
下描きが速くなっても、完成するまでの全工程が同じように速くなるわけではなかった。
下描きの勢いを残す工夫は、コピーを使ったペン入れの記事で詳しく扱っている。

まとめ

八木さんは、毎回ネームの描き方が変わるので時間がかかる、と笑っている。
その日数を聞いた賀来ゆうじさんは、八木さんの説明から想像したよりも速い、と驚いた。
膨大なネームを作る作者の話のあとに聞く3〜4日という数字には、確かに意外性がある。
その数日で何度も見比べ、面白さを判断できるうちに形を決める。
絵にする段階では、詰まった部分を後回しにしながら、アシスタントの背景作業を進める。
丁寧な比較と、他の工程を止めない分担の両方を知ると、八木さんの制作日数が、具体的な仕事の姿になって見えてくる。

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