『CLAYMORE』の1話は、どれくらいの時間をかけて作られていたのか。
八木教広さんは、ネームに3〜4日、作画に合計3週間ほどを使っていたと話している。
学園ギャグ『エンジェル伝説』では、ネームにおよそ1週間かかっていたという。
数字と一緒に語られたのは、何度も見比べるネームと、作画を止めないためのアシスタントとの分担だった。
『CLAYMORE』完結後のジャンプSQ.「マンガの極意」で振り返った工程を見ていこう。
ネームの日数は、ギャグとストーリーで違った

ネームは、漫画のコマ割りや台詞、人物の動きを決める下書きだ。
八木さんが対談で挙げた期間は、次のようになっている。
八木さんによると、ギャグのネームは、途中で行き詰まると全てボツになることもあった。
『CLAYMORE』では残せる部分があり、描き直すときの選択肢が増えたという。
二作品では、ネームを作り直すときのやり方にも違いがあった。
一コマ変えるたびにコピーを取り、見比べる

八木さんは、最初からコマを割ったネームを描く。
人物や物語も、そのネームの中で形になっていく。
一コマ変更するたびにコピーを取り、変更前と見比べるため、ネームの枚数は膨大になる。
描く順序も、毎回同じではない。
第1ページから進めるときもあれば、最後の引きを先に決めるときもある。
途中に面白い展開が浮かべば、そこを固めてから、前後の流れを練り直す。
数日という期間には、このような比較と組み替えが詰まっていた。
ただ、見直しを続けるうちに、本人にも何が面白いのか分からなくなることがある。
八木さんには、面白さを判断できるうちに仕上げたい、という気持ちがあった。
構図はネームで決め、背景作業を先に進める

八木さんは、画面の構図までネームで考え、作画ではほとんど変更しないと説明している。
ギャグ漫画出身として、台詞や内容が伝わる、分かりやすい画面を重視していた。
ネームができると、話の筋だけでなく、完成するページの見え方もほぼ決まっている。
作画には、別の難しさもある。
描いたことのないものが出てくると、八木さんは下描きで苦戦することがあった。
そんなときは、8割ほどできた原稿をアシスタントに渡し、背景を進めてもらっていた。
八木さん自身は、詰まった部分をいったん後回しにして、ペン入れの段階でも改善を重ねる。
下描きで迷っている部分があっても、背景作業は並行して進められた。

連載を続けるうちに、下描きにかかる時間は短くなったという。
一方、ペン入れでは、自分の絵に足りないところが見えるほど、描き込みを増やしたくなった。
下描きが速くなっても、完成するまでの全工程が同じように速くなるわけではなかった。
下描きの勢いを残す工夫は、コピーを使ったペン入れの記事で詳しく扱っている。
まとめ
八木さんは、毎回ネームの描き方が変わるので時間がかかる、と笑っている。
その日数を聞いた賀来ゆうじさんは、八木さんの説明から想像したよりも速い、と驚いた。
膨大なネームを作る作者の話のあとに聞く3〜4日という数字には、確かに意外性がある。
その数日で何度も見比べ、面白さを判断できるうちに形を決める。
絵にする段階では、詰まった部分を後回しにしながら、アシスタントの背景作業を進める。
丁寧な比較と、他の工程を止めない分担の両方を知ると、八木さんの制作日数が、具体的な仕事の姿になって見えてくる。


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