『GS美神 極楽大作戦!!』の原型は、椎名高志がデビュー直後に描いていた『(有)椎名百貨店』の読み切りでした。
毎月違う話を描く企画から生まれた一本が、1991年、椎名にとって初めての週刊連載になります。
本人の回想を読むと、次々に新しい漫画を作る楽しさと、毎週描き続ける厳しさの両方が見えてきます。
『(有)椎名百貨店』は毎月違う漫画を描く企画だった
1989年にデビューした椎名は、増刊サンデーで『(有)椎名百貨店』を約一年担当しました。
本人の説明によると、毎月、違う読み切りを描く企画です。
椎名は2003年の「まんが家バックステージ」で、『GS美神』もその中の一本だったと振り返っています。

毎回別の漫画なら、前の話とは違うことを試せます。
椎名自身も、変化のある仕事を楽しみ、描いた結果が分かりやすい点に魅力を感じていました。
一方で、毎回ゼロから漫画を作るため、続けるとかなり消耗する仕事でもあったといいます。
『GS美神』の出発点には、楽しさと負担をともに伴う、そうした読み切りの連続がありました。

椎名は2003年に再び三回続けて読み切りを描く際、その仕事を喜んでいました。
週刊連載を経験した後も、毎回違う話を作る楽しさは残っていたことがうかがえます。
読み切りの一本から、美神と横島の週刊連載へ
その読み切りから始まった『GS美神 極楽大作戦!!』は、悪霊退治を商売にする美神令子と、助手の横島忠夫を中心としたコメディです。
美神は高額の報酬を得る凄腕のゴーストスイーパー。
美神のもとで働く横島とのやり取りが、除霊の仕事に騒がしさを加えます。

読み切りを一作ずつ仕上げていた椎名は、今度は美神たちの話を毎週届けることになりました。
『GS美神』は後に全39巻に及ぶ作品になりますが、始まったときの椎名には、まず毎週の原稿を間に合わせるという大きな課題がありました。
初めての週刊連載で、喜びと重なった締め切りの重圧
椎名は2024年のグラニフ取材で、連載当初は仕事に追われ、十分に眠ることもできなかったと語っています。
自分の連載を持てる喜びがあり、張り切っていましたが、締め切りは毎週やってきます。
原稿を完成させるだけでなく、自分の作品として印象を残したいという思いもありました。

椎名は、当時の漫画を今読むと、自分でも簡単には再現できないほどの勢いがあると振り返っています。
この回想には、連載が始まったうれしさだけでなく、休む間もなく描き、その中で自分らしさを出そうとしていた若い漫画家の姿が表れています。
高橋留美子が見ていた、勢いと人物への気配り
椎名が漫画家を目指すきっかけになったのは、中学生の頃に読んだ『うる星やつら』でした。
その作者である高橋留美子は、椎名の初期作品をどう見ていたのでしょうか。
2022年の二人の対談で、高橋は『(有)椎名百貨店』を初めて読んだとき、描き手のうまさが気になったと話しています。
続いて『GS美神』の連載が始まると、作品の勢いに加え、人物にも気を配っている点を評価しました。
勢いがよくて、登場人物の扱いも丁寧。
高橋は、その両方が椎名作品の魅力だと捉えていたのです。
まとめ
『GS美神』は、毎月新しい話を作る企画の中で生まれ、その一本を毎週描き続ける作品へ育ちました。
椎名が振り返る連載初期の勢いに、高橋留美子が評価した人物への気配りを重ねると、美神たちの騒がしい掛け合いにも作り手の仕事が見えてきます。
面白い一本を思いつくことと、その人物たちで毎週読者を楽しませること。
『(有)椎名百貨店』から『GS美神』への歩みは、椎名がその二つに取り組んだ時期でもありました。

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